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朝日新聞デジタル急伸に懸念続出…除染手抜きスクープも根拠弱くゼネコン側は無視?

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「(紙媒体を中心とする編集部門は)デジタルを含む多彩な情報の発信部門へと大きく変わりました。記者活動のデジタル化もそのひとつです。新聞の締め切りは朝刊、夕刊の2回ではなく、24時間。厳しい言い方になりますが、紙媒体に書くことだけにこだわる記者は数年後には仕事がない、くらいに思っていただかなければなりません」

 だが、そんな木村社長の荒い鼻息をよそに、肝心の取材現場はお寒い状況と言わざるを得ない。

■「つぶやき」からのネタ探しは朝日がやること?

「100円マック、一部で終了 九州などでそっと値上げ」

 1月16日の経済面「価格のフシギ」に載ったこの記事。実は掲載2日前、ツイッターの話題を検索できるサイトで「100円マック」が話題になっていたのを記者が発見。ツイッターの「つぶやき」を追い、福岡などで100円だったハンバーガーが値上げされたという投稿を見て、外食産業担当の経済部記者に連絡すると、「デフレの象徴である100円マック終了は影響大」と反応したことから、記事化したという。大手紙の社会部デスクが言う。

「ソーシャルメディア取材が功を奏した例として、朝日が取り上げているものなんだが、これでは単なる“つぶやきのウオッチ”だよ。中小のニュースサイトが、当たり前にやってるじゃないか。マックネタ程度の話ならまだかわいいが、朝日は今年の元旦一面に、ソーシャルメディアでの取材相手とのやとりを紙面にだらだらと掲載し、画期的な取材手法だと紹介記事を大々的に取り上げた。いったい何を言いたいのか、さっぱりわからない。肝心なのは、その取材で得られたネタのほうだろう。本末転倒なんだよ」

 朝日が最近スクープとうたう「手抜き除染」も、ネットメディアを意識したようだ。1月4日に、福島第一原発周辺で除染作業を進めるゼネコンの作業員が、回収すべき川岸の落ち葉の塊を川面へと蹴り出す様子を、紙面では写真、デジタル版では映像と一緒に報じ、その後も続報を打ち続け、大成建設や大林組など大手ゼネコンを名指しする批判キャンペーンとなった。前出のデスクが続ける。

「写真や映像を『物的証拠』として取材相手に突きつけ、ネット上での反応に感性を研ぎ澄ます――。これがデジタル版を意識した『手抜き除染』キャンペーンの意義らしいが、では、川面に蹴り出したものが何ミリシーベルトなのか、肝心のデータがなく、どれほど違法なことをしたのか詰めていない。ゼネコン側は重箱の隅をつついた程度の報道ととらえ、ほとんど無視し、いまも同じ手抜きが続いている。インパクトの強い写真や映像から『スクープ』のイメージを作り出す手法にすぎないから、ネタ自体が弱いんだ。

 それなのに、問題の映像の再生回数が13万回を超えたと喜んでいる。社会に衝撃を与えた大阪地検特捜部の『データ改ざん』みたいな朝日のかつてのスクープを思うと、実にお寒い状況なんだよ」

 確かに、既存のネットメディアと同じような土俵に乗っては、新聞ジャーナリズムが衰退するのは目に見えているのではないだろうか。業界の盟主たる朝日には、政治権力を監視するという大義と調査報道の神髄たるものをネット上でも見せつけてほしいものだ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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