10月、「週刊新潮」(新潮社/10月20日号)は、日本教職員組合(日教組)委員長・岡本泰良氏が不倫相手とラブホテルに出入りし、クラブでの多額の飲食の支払い時に日教組宛の請求書を切らせていたのに加え、日教組名義のタクシーチケットを私的使用していたと報じていた。
この問題を受け11月30日、日教組は岡本氏が29日付けで引責辞任したと発表したものの、報道された組合費の私的流用や使途不明金などの支出はなかったとした。
元東京都職員で『日教組』(新潮社)著者の森口朗氏は、こう指摘する。
「年間500万円といわれる役員行動費から支払っているのなら、公私混同に当たり問題がありますが、役員の裁量で処理できます。しかし、日教組宛の請求書を切らせていたとしたら、堂々とオモテの金で私費を処理したことになり、横領に当たります」
ちなみに日教組は岡本氏の辞任前、当サイトの取材に対し、「『週刊新潮』に掲載された金銭に関する記述は事実無根である。経費処理はこれまでも適切に行ってきた。会計監査も公認会計士を入れて適切に行なっている」(広報部)と回答している。
日教組は「職員団体等に対する法人格の付与に関する法律」に基づき「職員団体」として法人格を有するが、その実態はいったいどのようなものなのであろうか。
嫌がらせ行為
昭和60年代から平成の初頭にかけて、田無市(現西東京市)教育委員長を務めた谷尻哲氏に振り返ってもらった。当時の田無市は革新勢力の強い自治体で知られ、教員にも日教組の活動家が多かったという。
「23区内の公立小学校と中学校の教員で勤務評価の低い人たちは、多摩地区に左遷される傾向がありました。田無市の学校に異動すると、革新色の強い土地柄だけに、彼らは日教組活動にのめり込んでいきました」
谷尻氏が直面したのは、式典での嫌がらせである。市内の小学校の卒業式に主賓として出席したときのことだ。公用車に乗った谷尻氏が正門前で降りると「国旗掲揚反対・君が代斉唱反対」と書かれたプラカードを持った教員7~8人が“通せんぼ”をしてきた。谷尻氏は日教組に同調しない人物であるからだ。