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その後、占領を経て日本の主権回復とともに同盟関係になった日米だが、双方の行った国際法違反は両国民の心からの和解を妨げてきた。米国は日本の真珠湾攻撃を、日本は米国の原爆投下を、決して赦してはならないこととして語り継いできた。「リメンバー・パールハーバー」と「原爆を許すまじ」は代表的な表現である。その日米両国がわだかまりを越えて真の同盟関係になるためには、真珠湾攻撃と原爆投下について、双方が「赦す」ことが必要になる。
今年5月、オバマ米大統領は広島を訪問し、原爆の犠牲者を追悼した。この行為により日本国民は米国に「赦し」を与えた。そして今度は安倍首相が真珠湾を訪問し、75年前の奇襲攻撃における戦没者を追悼する。米国民が「赦し」を与えることを祈りたい。
こうして日米は過去の恩讐を越えて、真の同盟関係になることができる。安倍首相の真珠湾訪問は、首相が昨年4月に行なった米連邦議会上下両院合同会議でのスピーチの延長線上にある。そこでもかつての敵対関係を越えて、現在は同盟関係(トモダチ)になったことの意義を首相は説いた。それでも真の同盟関係になるに当たって残る障害を、5月のオバマ大統領の広島訪問、そして今度の安倍首相の真珠湾訪問で乗り越えようとしている。
これは文化戦略に基づく安全保障である。日米が恩讐を越えて真の同盟関係になることが、アジア・太平洋地域の安定につながることはいうまでもない。中国やロシアに対する牽制になり、抑止力も高まる。それを軍事力増強によらずに、日米両国民の「赦し」によって行うことの意義は大きい。トランプ次期大統領も理解しているはずだ。
(文=編集部、協力=八木秀次/麗澤大学教授)
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