幹事長内定に危機感を持った人物がリークか
幹事長内定から一転、無役になったばかりか、離党や議員辞職を検討中という報道まで出ている山尾議員だが、このタイミングでの不倫疑惑発覚は何を意味するのか。
「前原(誠司・民進党代表)さんが志桜里さんを幹事長にしようとするという、あまりに無謀な判断に危機感を持って、全力で止めようとした人物が情報を流したのではないかという気がします。志桜里さんが幹事長なんて、あり得ないですよ。前原さんの政治センスがズレているとしかいいようがありません。
志桜里さんは、記者会見などはうまくこなすでしょう。しかし、幹事長というのは民進党が抱えている150億円規模のお金を管理する立場です。選挙のときに候補者を立てる最終判断をする権限も持っています。当選回数も少ないし、政治家になってからのキャリアなどを考えたときに、やっぱり実際に幹事長に就任した大島(敦)さんとは比べものになりません。
前原さんが志桜里さんを副代表や女性局長、青年局長などの部署にあてておけば、不倫疑惑が明るみに出るのはもう少し先だったのではないかという気がします。また、志桜里さんの立場からすれば、『まだまだ私に幹事長は務まりません』と辞退すればよかったのです。それなのに、受けてしまった。
今回の『文春』の記事は、いつもと比べて中途半端な印象です。2人の出会いの詳細なども書かれていないでしょう。情報を受けて急いで体制をつくって取材したら、思っていた以上に頻繁に会っていて、いい写真もたくさん撮れちゃった……という感じなのではないでしょうか」(同)
記事によると、山尾議員と倉持氏は彼女が幹事長に内定した夜にも会っており、ホテルにお酒を持ち込んでいたことから「祝杯を挙げたのだろうか」と指摘されている。
「極端にいえば、幹事長というのは自殺したくなるほど大きなプレッシャーのかかるポジションです。自分の発言ひとつで民進党の執行部をひっくり返しかねない立場です。それをお祝いするという感覚もズレています。
そして、不倫がバレているのですから、取材するほうからすれば、これほどありがたい脇の甘さはないでしょう。『文春』から『不倫疑惑を報じる』と連絡を受けた前原さんが『ちょっと問題があるから幹事長は代えたい』と伝えたときも、志桜里さんは『それなら代表代行などの要職を』と希望したそうですが、あまりにもおこがましいですね。自分の置かれている状況を冷静に見られなかったことが、失態につながったのではないでしょうか」(同)
子育てに苦労している母親たちの期待も大きかった山尾議員。ジャンヌダルクの失楽園への転落は、明らかに有権者への裏切りである。
(文=深笛義也/ライター)