今回の衆議院議員総選挙の「隠された最大争点」は、消費税の10%への再アップである。自公与党は2019年10月の再増税を公約として掲げ、野党は反対している。
消費税といえば思い出されるのが、「バナナ」と「もやし」である。前回、消費税が5%から8%に上がった2014年4月1日が近づくにつれ、埼玉・所沢駅に隣接したスーパーでは、バナナともやしが早い時間に売り切れていた。同年4月に入ってからも、その傾向は続いた。バナナは1房100円弱、もやしは1袋27~8円くらいであり、長く価格は変わっていない。消費増税に対して身構えた庶民が取った購買行動である。今まで以上に節約しなければ生活できないという防衛本能に基づく行動であり、消費増税への沈黙の抵抗運動といえる。
前回の増税は、明らかに庶民の消費行動にブレーキを掛けた。清算レジで思っていた金額より高く請求されることが増え、当然購入は抑えられることになった。こうして消費を減退させ経済を停滞させたことが実感できた。
選挙戦序盤の情勢として、自公与党側が「堅調」と報じられているが、何が本当の争点かがわかってくれば、選挙情勢が大きく変わる可能性もある。そこで大きな争点である消費増税について各党の姿勢をみてみると、2年後の増税を唱えているのは与党の自公だけで、野党は「凍結」「中止」「反対」と表現は違うものの、増税に反対を表明している。よって、自公で過半数議席を取れば、確実に消費増税を実施するだろう。
消費増税めぐる各党の主張
自民党の説明では、消費増税による税収増分の5兆6000億円のうち、教育財源として幼児教育の無償化に1兆7000億円を使うとしている。国の借金返済には、税収増のうち半額分の2兆8000億円を充てると説明している。安倍首相の第1声は、「幼児教育を一気に無償化する」であった。公明党は消費増税に「与党として賛成する」と公約し、物品によって消費税10%に引き上げない軽減税率の導入も主張している。
これに対して、野党は経済状況や増税不況発生の可能性を鑑み、増税反対を公約している。凍結を主張している希望の党は、代替財源として「大企業の内部留保への課税」を主張し、小池百合子氏は自民が増税分の約3割を教育財源に充てるという案について、「そんなしょぼい話では間に合わない」と批判している。