中国では第19回目になる5年に一度の中国共産党の党全国代表大会(党大会)が始まったが、最大の焦点である最高指導部人事が固まった。中国共産党8900万人の党員のトップに立つ7人の党中央政治局常務委員には、習近平国家主席(党総書記)と李克強首相が留任するほか、新たに栗戦書・党中央弁公庁主任と趙楽際・党部組織部長が昇格することがわかった。
これで「チャイナセブン」のうちの4人が決まったが、あとの3人は混沌としているものの、当初は「ポスト習近平」のナンバー1として下馬評が高かった胡春華・広東省党委書記が外れることは確実。この代わりに、王滬寧・党中央政策研究室主任、陳敏爾・重慶市党委書記、汪洋・副首相という顔ぶれになることが予想される。
また、習氏の信頼が極めて高く、これまで反腐敗運動の指揮をとってきた王岐山・党中央規律検査委員会書記は常務委員会を出るが、「国家副主席」といった常務委員会に出席できる特別な職務に転じる可能性が強い。北京の中国筋が明らかにした。
チャイナセブン
今回の第19回党大会は18日に始まって、ほぼ1週間程度で終了。翌日には新たな5年間の任期中の最初の党中央委員会総会が招集される。これが党第19期中央委員会第1回総会(1中総会)だ。この場で、「チャイナセブン」といわれる党政治局常務委員7人と、常務委員を含む党政治局員が選出される。党政治局員はこれまで25人だったが、定員は決まっておらず、25人前後となろう。
人事での最大の関心事は、いうまでもなくチャイナセブンの顔ぶれだ。確実なのが、前期の7人のメンバーのうち、年齢の関係で5人が引退し、年齢制限にひっかからない習氏と李氏が残留する。党政治局常務委員会には定年はないが、不文津として党大会開催時に68歳以上は引退するとなっており、これまでも、その不文律が守られてきた。
しかし、習氏としては不文律を無視して、現在69歳だが右腕とも頼む王岐山氏をチャイナセブンに残すとの意向が強かったものの、王氏が固辞したことで、残留させることを断念。とはいえ、そのまますんなりとは引退させずに、国家副主席といった名誉職的な地位に就けて、習近平指導部体制を側面から支えてくれるように協力を要請したという。
王氏が常務委から外れることで、新たな指導部世代である第6世代から、習氏が信頼する若手の腹心のホープである陳敏爾・重慶市党委書記がチャイナセブン入りする可能性が強まっている。
陳氏は、もともとは浙江省の新聞社社長で、習氏がトップ時代、習氏のコラムのゴーストライターをしたことで目をかけられて、その後16年以上も腹心として忠誠を誓ってきた。習氏にとっては都合の良い「イエスマン」だけに、かたちだけチャイナセブンにしておけば御しやすいとの思惑も働いているとみられる。