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北朝鮮のミサイル、航空機と衝突の可能性…政府、事前入手した発射情報を通知せず

文=兜森衛
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 シンガポール航空は7月に北朝鮮が「火星14型」を発射した際、ソウル―ロサンゼルス間の定期便の航路を変更した。シンガポール航空は過去にも航路変更を行っており、今回は日本海の北部海域を避けることで、ミサイルの軌道付近を飛行しないルートを選んだ。

「北朝鮮がミサイルを通常発射した場合、ミサイルは津軽海峡を越えて太平洋上に着弾します。なぜ津軽海峡の上を飛ぶのか。失敗しても下は海ですからね。本当にアメリカまで弾道ミサイルを撃つには、必ずロシア領空のサハリンの北を飛びます。そこに撃てばアラスカ近海に着弾します。ロシアを刺激しないように、わざと津軽海峡上空に発射しているのです。それに衝突する可能性があるのは、5本ある北米ルートで飛んでいる旅客機になります。

 リルートは簡単です。ロシアンルートといって、ロシアのカムチャッカの北を飛ぶルートと、ペトロパブロフスクを通る2つのルートのどちらかを飛べばいいのです。津軽海峡上空はミサイルがかなりの高度で飛んでいるので問題ない。不安なのはミサイルが落下してくる太平洋上なので、ロシアンルートを飛べば問題ないのです。このルートを飛ぶにはお金がかかりますが、向かい風が弱いため燃料が節約できるので、コスト的にはほとんど変わりません。米ソ冷戦時代は国防上の問題で飛べませんでしたが、最近はビジネスライクなので、申請すれば認められます。対策としてはこれがベストですが、JALも全日空(ANA)も確率が低いとみて、リルートせずに通常のルートを飛んでいます」(同)

一瞬で空中分解

 航空機の墜落事故が起こる確率は0.0009%。ミサイルに当たる確率はそれより低い。しかし、ミサイルが大気圏内に再突入してバラバラになった場合、部品の一部が衝突する可能性はないのだろうか。

「ミサイルが大気圏に再突入するとバラバラになって燃え尽きますが、怖いのはバラバラになった部品が飛行機の胴体を突き破るか、尾翼に当たることです。もし胴体に当たれば、ものすごいスピードなので、一瞬で空中分解を起こします。尾翼に当たれば操縦不能になります。途中で引き返すことはできないので、最低でも12時間前には情報が必要です。日本から飛び立つ場合も、最低数時間前にわからないと、ルートの変更はできません」(同)

 これまで北朝鮮のミサイルの多くは、高高度のロフテッド軌道での発射だった。ロフテッド軌道でも旅客機に影響はないのか。

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