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北朝鮮のミサイル、航空機と衝突の可能性…政府、事前入手した発射情報を通知せず

文=兜森衛
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「ロフテッド軌道で発射した場合は、日本海を飛ぶ飛行機に影響しますが、その場合の衝突回避策は簡単です。ルートは新潟から佐渡島を通って日本海沖合に出て北上するルートと、内陸を稚内まで行ってそこから北上するルートがありますが、この内陸ルートを通ればいいんです。ロフテッド軌道だとミサイルは日本海の海岸線までは来ないので、心配なら稚内経由のルートでヨーロッパに行けばいいだけ。それには、出発まで2~3時間あれば可能です。最悪の場合でも、羽田、成田で30分とか1時間ぐらい出発が遅れるだけです」(同)

国の怠慢

 北朝鮮は以前はミサイル発射を事前通告したが、最近は事前通告なしに発射している。そうなると、やはり政府筋から情報を得るしかないが、杉江氏はこう不満の声を上げる。

「政府は米国などからの情報で数日前からミサイル発射の可能性を知り、安倍首相は実際に発射された日の前日から首相官邸に泊まりこんでいると報道されている。それが事実なら、情報を入手した段階で航空会社に教えないというのはとんでもないことです。発射すれば7分でミサイルが到達するわけですから、なんの対応もできません。我々は飛行ルートを変えることしかできない。発射した時点では情報が入りますが、その時点で知らされても、ルート変更は間に合わないのです。航空会社に事前に知らせて、予定通り飛ぶか、リルートするかのオプションを航空会社に与えるべきです。

 通常軌道、ロフテッド軌道、どちらの方法でも、事前に情報がわかれば対処できる。政府は前もって情報を掴んでいながら、その情報をまったく航空会社に知らせないのですからひどい話です。日本から行く場合は数時間前ならルート変更できますが、アメリカから来る場合は十数時間前にわからなければルートの変更はできません。政府と国土交通省がどこまで話をしているのか。おそらく、この件に関しては危機感を持って話し合っていないでしょう。ミサイルを避けて国民の命を守る対策をしているとはとても思えない。万一、部品が直撃して大事故が起きても、官邸は直前までわからなかったと言うでしょう」

 北朝鮮は11月29日に発射した「火星15型」を「米本土を攻撃できる超大型核弾頭の搭載が可能。国家核戦力が完成した」と宣言。しかし、マティス米国防長官は大気圏再突入技術はまだ完成していないとして、「米国にとって今すぐには脅威とならない」と分析する。完成までにまだ時間がかかるとすれば、北朝鮮はあと数回はミサイル発射実験を行う可能性が高い。

 22発目はいつ飛んでくるのか。年内にもう1発はあるのか。そんなクリスマスプレゼントだけは願い下げだ。
(文=兜森衛)

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