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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

安倍首相、電撃訪朝の可能性…拉致問題解決と引き換えに、巨額資金援助か

文=相馬勝/ジャーナリスト

 しかし、毎日新聞が元日付で掲載した、北朝鮮の駐英公使を務め2016年8月に韓国に亡命した太永浩氏との単独会見によると、北朝鮮側が「解体する」と述べていた拉致被害者らの調査のための「特別調査委員会」は現在も残っており、金氏が「拉致問題の解決と引き換えに、日本から巨額の資金援助を受けられることを望んでいる」ことを明らかにしている。金氏が拉致問題の解決と資金援助を結び付けて考えていることが事実とすれば、安倍首相としても、朝鮮半島情勢の雪解け機運を受けて、拉致被害者の救済を前提とした日朝関係の改善を真剣に模索するとしても不思議ではない。

 トランプ氏が発言したように、「金正恩氏とは非常に良い関係を築いている」ことが事実ながら、安倍首相としても米韓両国に気兼ねすることなく、堂々と日朝関係改善を進めることができるからだ。拉致問題が解決すれば、安倍首相の名前は歴史に残るのは間違いなく、まさに絶好のチャンスだろう。

 とはいえ、金氏もトランプ氏も舌の根が乾かないうちに、その言動が変わることはままあるだけに、安倍首相が望むような好機が到来するかどうかは、もう少し時間をかけて判断しなければならないのは間違いない。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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