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米国、在韓米軍削減や北朝鮮の核保有認知の可能性も…4月の日米首脳会談、極めて重要

構成=長井雄一朗/ライター、協力=森本敏/防衛大臣政策参与
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韓国政府による“日本外し”

――日本の動向は?

森本 韓国特使団が北朝鮮で金委員長に面会して、聞いた話をアメリカや日本に説明しましたが、これは伝聞の情報が伝えられたものです。それは韓国が伝えたメッセージであって、北朝鮮が本気で非核化するかについてメッセージを出していない。そこで日米韓は、北朝鮮がどこまで真剣かを見極め、実際に、非核化のプロセスがとられるまでは、経済制裁の手綱を緩めるわけにはいかないということで、制裁と圧力を続けています。しかし、韓国政府には“日本外し”が見受けられる。この問題は米韓朝の3国で行い、日本を入れると複雑になるという判断が働いているようにみえます。

 日本の大事なポジションとしては、4月に安倍首相が訪米してトランプ大統領と日米首脳会談を開催します。日本としては同盟国の立場で、アメリカが北朝鮮に対して安易な妥協することのないよう、同盟国と緊密に連携しつつ、北朝鮮との交渉をすすめるよう求めることは重要です。

 アメリカは中間選挙を控え、対北政策の成果が必要ですので、功を焦る可能性があります。アメリカが、もし北朝鮮が非核化プロセスを約束し、核実験をしないという約束の見返りに、暗黙であれ、米国が印・パキスタンのように事実上の核保有国として認知し、在韓米軍を減らすなどの判断を下すことになれば大変なことになり、日本の役割は重要です。ですから、日米韓の3国の連携は依然として重要なのです

 日米首脳会談での安倍首相のメッセージには、大きな意味を持っています。今はその内容を見極めようとしている段階です。まずは、4月の南北首脳会談がどういうかたちで行われるかを注視して、すべてのプロセスがうまくいくと南北協議と米朝協議がすすむという可能性もありますが、どちらかが崩れれば、北朝鮮はまた、挑発活動のパターンに戻り、9月9日の建国記念日前後に、例年のごとく、核実験の実施に踏み切るシナリオもあり得ます。

 今までは夏に行われる米韓合同軍事演習に対してミサイルの発射を実施した例があるので、南北、米朝対話がスムーズに進むことを見極めることが必要です。しかし、今のところ実態としては北朝鮮の核・ミサイルがまったくく廃棄されているわけではなく、基本的に脅威が存在しているという事実に変化がないので、日本としては経済制裁や圧力の手を緩めず、引き続きこれを続けていくのが望ましいです。

――開催予定の日中韓首脳会談と、一部報道にある日朝首脳会談については?

森本 まず日中韓首脳会談については、中国の李克強首相の訪日は前から意向を示しておられ、今度は日本が議長国ですから日本政府としては5月に開催したい。その意味では安倍首相が平昌五輪に出席した意味は大きく、韓国の文大統領としては訪日のいいチャンスです。当然、朝鮮半島全体が議題に上がることになるでしょう。

 そして日朝首脳会談も米朝首脳会談が、いい雰囲気のなかで行われたら拉致問題解決のチャンスでもあります。トランプ大統領も拉致問題への関心は強く、国連で横田めぐみさんに言及したこともあります。これは安倍首相とトランプ大統領との首脳会談でも議題になるでしょう。初めから拉致問題の解決は議題にはなりませんが、北東アジアの雪解けの醸成が上がっていけば良いですし、自民党総裁選までに少なくとも協議できる態勢を実現したいと考えているのではないでしょうか。

繰り返された韓国の誤りの歴史

――韓国の文在寅大領領は、米韓朝の3国首脳会談の可能性について言及しました。

森本 韓国の最大関心事は、6月の地方選挙です。平昌五輪の際に支持率が下がったので、韓国がリードして一気に朝鮮半島のイニシアティブを取り、決めようと判断し、前のめりになっています。一方、リスクも高いです。韓国から働きかけたとしても、何回か繰り返してきた誤りですが、北朝鮮に“いいところ”だけ取られることになる可能性があり、政権がレイムダックになった歴史もあります。

――中国、ロシアの考えは?

森本 中国は決して、金正恩体制と良い関係ではないです。しかし、北朝鮮の国家体制の崩壊はもとより、アメリカが軍事力を行使し、北朝鮮を崩壊させることは認められません。しかし今の段階で、南北対話と米朝対話が開始するなかで、不要なメッセージを発することで他国から非難を受けるのは避けたいので、今は静観しています。いずれにしても、朝鮮半島の将来が中国の国益になるような方向に進むことを優先させつつ、中国としてはイニシアティブを取るチャンスをずっと狙っていると考えています。

 次にロシアですが、アメリカが朝鮮半島情勢で主導権を握ってきたことを不快に思っています。常に北東アジアはロシアにとって出入り口であり、朝鮮半島はロシアの問題でもあり、北東アジア問題を解決する際、ロシアを外すことは受け入れられず、どちらかといえば米国が半島に軍事的に手を出すことを牽制する意味からも北朝鮮サイドに立っています。

 深刻な量ではありませんが、ロシアは北朝鮮にわずかな量の石油を供給しています。北朝鮮は、ロシアから支援を求めることは全体をバランス良く牽制する上で必要と考えているでしょう。ロシアも援助することで、北朝鮮問題に関与するポジション確保を狙っています。また、国連は北朝鮮が挑発活動を起こしていないので静観している状態です。
(構成=長井雄一朗/ライター、協力=森本敏/防衛大臣政策参与)

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