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天皇誕生日が「消える」理由

文=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士、宮澤裕登/早稲田大学大学院法務研究科2年生
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 ちなみに、余談として、祝日法には「の」が付くものと天皇誕生日や元日などのように付かない日があります。これは、一説によれば、その祝日がその日でなければならないか否か、その日に歴史的・事実的根拠があるかどうかによって定められているとのことです。

 なお、「建国記念の日」が定められた際は、ある野党が「神武天皇が即位した日は神話の世界だから歴史じゃない!」とイチャモンをつけたことにより「の」がついたそうです。

3.祝日の効果?

 法律には、定められたことが満たされると、一定の効果が生じますが、祝日法には私たちの生活にどのような効果・影響を及ぼすのでしょうか。

 祝日法には、私たちの生活に直接作用する規定はありません。そのため、個々の法律を通じて効果が生じます。例としては、次のようなものが挙げられます。

・国の機関や地方公共団体の休日になること(行政機関の休日に関する法律1条1項2号、地方自治法4条の2、2項2号)
・公立学校の休日となること(学校教育法施行規則61条1号など)
・死刑執行がなされないこと(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律178条2項)

 では、一般的な企業、特に従業員の方との関係では、どのような影響が及ぶのでしょうか。

 まず、祝日法の規定は、公の事柄に関するものを規律するだけなので、企業と従業員といった私的な関係には当然には効力を有しません。効力が生じるには、労働関係に関する法律によらなければなりません。

 そこで、労働関係に関する法律である労働契約法(以下、労契法と称します)や労働基準法(以下、労基法と称します)を見ると、休日に関係する規定はありますが、「この日が休み!」という明確な規定はありません。

 実は、休日というのが、基本的に企業と従業員の取り決めである労働契約によって定められているものであり、労働関係に関する法律にはなんら規定されていないのです。もっとも、労働者の権利を保護することが労基法の役割ですから、一定の枠組みを定めるかたちでの規制がなされています。

 さきほど、労働契約によって休日が定められるとしましたが、一般的には、労基法の規定に従い「就業規則」によって、休日が定められることになります。この「就業規則」とは、一定の規模の雇用主に対して定めることが求められる職場における統一的な条件を定めたものです。「就業規則」に定めるべき項目は、労基法第9章「就業規則」に規定されており(労基法89条以下)、賃金や始業・就業時間など従業員が働くうえで必須の項目について定められています。

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