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日本は経済力の低下によって国際的な立場を大きく落としており、米国の外交活動における日本の優先順位は低い。もし北朝鮮が日本に対して法外な要求を突きつけた場合、問題解決を最優先したい米国が、日本に対して要求を受け入れるよう強く求める可能性も十分に考えられる。
こうした状況では、なんらかの経済援助を北朝鮮に実施する場合でも、日本企業が積極的に関与できる割合は小さくなってしまうだろう。
南北統一市場に日本がどれだけ関与できるか
政治的な意味での南北統一が実現するのかはわからないが、米朝交渉が成立した場合、南北朝鮮の経済的な統合は進む可能性が高い。
北朝鮮の人口は約2500万人と韓国の半分程度の規模があるため、当初は韓国にとって重荷となるだろう。だが北朝鮮が経済の再生に成功した場合、逆に人口の増加は経済圏を強化する作用をもたらす。
2016年時点における北朝鮮の1人当たりGDPは韓国の約40分の1しかなかったが、闇経済があるため実際の経済水準はもっと高いと考えられる。また、北朝鮮と韓国は同じ民族であることを考えると、経済システムの統合はそれほど難しくない。
同一民族における国家分断と再統合については、東西ドイツという先例がある。当初、西ドイツは生活水準の低い東ドイツ地域の扱いに苦慮したが、東ドイツ地域の経済水準はみるみる上昇し、現在では統一の効果を最大限発揮できるまでになった。ドイツと同じにはならないまでも、北朝鮮が市場経済に移行した場合の経済的効果は相応に大きいはずであり、このビジネスチャンスを米国や中国は虎視眈々と狙っている。
日本にとって韓国は隣国であり、深くかかわらざるを得ない。仮に日本が不利に立場になったとしても、あらたに出現する南北統一経済圏に対して、日本が可能な限り関与できるよう模索していく必要があるだろう。
(文=加谷珪一/経済評論家)
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