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塚原千恵子氏、選手に会見させ潔白証言工作か…自分は録音駆使、他人には録音禁止

文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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――結局、背景は朝日生命への有力選手の引き抜きですか。過去はうまくいっていたのに、今回は選手とコーチの絆が強かったのが計算違いだった気がしますが。

池谷 ここ数年、千恵子氏宮川選手と速見コーチの2人を朝日生命に引き抜こうと画策していたようです。しかし、拒否されていた。宮川選手は子供の頃から速見コーチに育てられて努力して五輪選手にまでなり、朝日生命に行く必要などなかった。そこで千恵子氏は、速見コーチの「暴力指導」に目をつけて引きはがしてしまおうとしたのではないでしょうか。

 かつては引き抜きや勧誘はうまくいっていたので、今回は計算違いだったのかもしれません。移籍した選手はたくさんいます。本人の本当の希望ならいいですが、全日本の合宿などで選手にあれこれ吹き込んでコーチと引きはがす。手塩にかけた選手でも「行きたい」と言われればどうしようもない。手塩にかけて育てた選手を次々奪っていく。これはプロ野球の移籍や芸能事務所の引き抜きとはわけが違います。人間として許せない行為です。

塚原夫妻は自ら引退すべき

――日本体操協会の具志堅副会長が「18歳が嘘つくはずがない」と言うなど、協会はかなりちぐはぐな感じですが。

池谷 具志堅氏の担当は男子で、女子は塚原夫妻、というように、体操協会は女子と男子がはっきり分かれていますので。女子に関していえば、まさに塚原夫妻がワン・ツー・トップです。世界選手権や五輪の代表選手は、ある程度、彼らの意見が反映されるポジションにいます。

――かつて塚原夫妻は「塚原判定」で大問題を起こしましたね。 

池谷 1991年の全日本選手権ボイコット事件です。この全日本選手権は僕も現役で参加していましたが、会場に行くと女子選手がいなくて、審判だけでびっくりしました。朝日生命の選手にばかり高得点が付く。審判員はほとんど朝日生命の関係者。明らかにおかしな判定に他のチームのコーチらが怒って、選手を55人も引き揚げました。このとき、競技委員長は光男氏で、主任審判だった千恵子氏でした。光男氏はこのボイコット騒動で責任を取って一度は辞任しました。それでも戻ってしまっているのです。

 あの不正事件ですら復権した姿をみんな見ているから、周囲は怖くて何も言えない。だから今回は、あの夫婦を辞任ではなく、体操に関われないようにすべきです。体操協会はさまざまな問題を塚原夫妻を中心に身内だけで処理してきました。今回、第三者委員会が体操協会に入りますが初めてのことです。この第三者委員会のメンバーについて、体操関係者にまったくつながっていない人選がされることを切に願います。

 今回、宮川さんはあれだけの勇気を出してくれた。僕たちはそれに報いなくてはならないのです。
(文=粟野仁雄/ジャーナリスト) 

●池谷幸雄(いけたに・ゆきお)
 1970年東京生まれ大阪育ち。大阪市の清風高校から日本体育大学。ソウル五輪とバルセロナ五輪で計4個のメダルを獲得。「池谷幸雄体操倶楽部」を主催する傍ら、タレント活動も行う。

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