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「図書館建設の経過については、うちは南海電鉄と県の三者で定期的に会議を開いて、その場で報告を受けています」
市は、設計や施行の事業者と契約に直接関与する立場にはないものの、施主である南海電鉄とそのつど協議し、報告を受けたうえで、事細かに経緯を了承しているというのだ。
そこで、和歌山市が南海電鉄と新図書館建設について話し合ったすべての文書について、開示請求することにした。会議で話し合われた内容がわかれば、RIAが選定されたプロセスなどは、一瞬にしてわかるはずだ。
そうして出てきた開示文書が、冒頭に紹介した写真である。届いたのは、1400枚を超える文書がギッシリ詰められたダンボール箱。開封して中身を詳しく見ると、会議ごとに30~80枚の議事録と添付資料らしき文書がとじられているのだが、それぞれ冒頭の1~5枚は白地があるものの大半の行が太い黒棒線で伏せられている。さらに、それ以降はすべてが全面黒塗りの「のり弁」状態だった。
この結果わかったのは、一会議につき数行の発言部分のみ。話し合われた中身については、依然として闇の中だった。
一部非開示の理由としては、「企業の競争上の地位や利益を害する恐れがある」「率直な意見の交換・意思決定の中立性が不当に損なわれる恐れがある」などとなっている。それならば、企業秘密の部分だけを伏せればいいはずだ。また、会議での発言の余波を懸念するのであれば、発言者の名前だけ伏せればいいのではないか。だが、実質的に全面非開示に等しい状態の回答だった。
64億円の公金支出について、説明責任を負っているはずの和歌山市・県と南海電鉄は、黒く塗り潰した文書を公開しただけで済ませられると考えているのだろうか。
次回以降、この黒塗り文書に隠された和歌山市ツタヤ図書館誕生までの秘密を追及していきたい。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)
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