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筈井利人「陰謀論を笑うな!」

ケネディ米大統領暗殺、55年目の真実…ジョンソン副大統領“黒幕”説が広まる

文=筈井利人/経済ジャーナリスト

 駄目押しとなったのがスキャンダルである。副大統領在職中、ジョンソンの身辺にはカネにまつわる問題が相次いだ。有力な支援者である事業家ビリー・ソル・エステスが綿花の作付け割り当てで不正を働いた事件、腹心の民主党上院院内総務秘書ボビー・ベーカーによる収賄事件などだ。

 これらのスキャンダルも一因となり、1964年の大統領選が近づく頃には、ジョンソンは民主党の公認候補にはなれないとの見方が広がっていた。決定打として、ケネディ本人が「ジョンソンは副大統領候補にならないだろう」と発言したと伝えられる。このままではジョンソンに「次がない」ことは誰の目にも明らかだった。

手段

 次に、ジョンソンにはケネディ暗殺の手段もあった。地元テキサスの司法に対する支配力と殺し屋である。

 前述のビリー・ソル・エステス事件を例に取ろう。テキサスで1961年、エステスの不正を調査していたヘンリー・マーシャルという農務省の調査官が自分の車の中で射殺体で発見された。遺体の横には手動式のライフルが置かれていた。検死の結果、マーシャルは頭部に5発の銃弾を受けて死亡したことが明らかになったが、驚いたことに、テキサスの郡の検視官はこれを自殺と判定し、それが認められたのである。

 前述のマクレラン氏は、テキサスの司法界に強い影響力を持つジョンソンの顧問弁護士、エドワード・クラークが背後で手を回したと指摘する。事件から20年以上たった1984年、マーシャルの死を調査するため大陪審が召集され、マーシャルの死は自殺ではなく他殺であり、ジョンソン、クリフトン・カーター(クラークの友人。民主党全国委員会でジョンソンの配下で活動)、マック・ウォレス(殺し屋)が共同謀議者として殺人に関わったと結論づけた。この衝撃的な結論が出されたとき、ジョンソンら3人はすでに死亡していたため、裁かれることはなかった。

 米政府の公式見解では、ケネディ暗殺はリー・ハーヴェイ・オズワルドの単独犯行とされる。ところがオズワルドがケネディを狙撃したとされるテキサス教科書倉庫ビルで発見された指紋の一つが、ウォレスの指紋と一致したという。

機会

 最後に、ケネディがテキサスでの遊説を決めた瞬間、ジョンソンはケネディ暗殺の機会を手に入れた。

 長年にわたりケネディ暗殺を研究した米法律家のクレイグ・ジーベル氏の著書『テキサス・コネクション-JFK暗殺 ジョンソンの最も危険な賭け』によれば、ジョンソンは率先してケネディにテキサス遊説を勧め、旅程を計画した。

筈井利人/経済ジャーナリスト

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経済ジャーナリスト

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