消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
「今、自治体の公園担当は本当に神経を使う部署になっています。最近はファミレスやカフェでも完全禁煙の店が増えました。そうしたことから、喫煙者は公園の一画に設けられた喫煙所に集まるようになっています。一方、近所の住民にしてみれば、公園は子供を遊ばせる場だし、地域のコミュニティスペースです。そんな公園に大勢のスモーカーが集まることは不快に感じるのです。近隣住民からは『風紀が乱れるから、公園からスモーカーを追い出せ』と主張されますし、スモーカーたちからは『自分たちはマナーを守って吸っているんだから、きちんとタバコを吸える場所を確保しろ』と要求されます。どちらの主張も平行線で、共存は難しい状況です」
ランチタイムや退勤時間帯に、公園で弁当を広げたりビール片手に晩酌を楽しむ人たちの姿を目にすることは珍しくない。イートイン難民が公園に流れれば、公園は会社員たちの飲食スペースと化すかもしれない。そうなれば、公園を遊び場にしていた子供たちやコミュニティスペースとしているママ・高齢者が玉突きのように追い出される。
「さらに恐れているのがゴミ問題です。コンビニには店員が常駐していますから、手間がかかるとはいえゴミが山積みになることはありません。しかし、公園は違います。大きな公園なら管理事務所が設置されて専任の管理者が常駐していますが、小さな公園では管理担当者は常駐していません。今後、公園内のゴミ箱の数を増やしたり、ゴミ回収の巡回数を増やしたりしなければならなくなるでしょう」(同)
多くの自治体では公園の清掃業務を民間委託している。また、指定管理者制度を導入して、公園の運営から管理まですべてを民間事業者に一任している自治体もある。行政の手間は増えなくても、委託費増は避けられない。その原資は当然ながら税金で賄われる。
「委託費を増やして公園の維持管理を徹底しても、公園から会社員が減ることはないでしょう。地域住民から『公園が使えない』といった苦情が増えることは間違いありません」(同)
地元住民の反発が高まれば、自治体は公園の増設や拡張を検討せざるを得ない。昨今、公園ではペットの散歩やボール遊びを禁止するケースが増えているが、今後「飲食禁止」というルールがつくられるかもしれない。
軽減税率導入のしわ寄せが、公園に押し寄せようとしている。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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