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杉江弘「機長の目」

ボーイング新型機・墜落事故続発…あり得ない新システム、航空会社へ説明不十分が原因か

文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長
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 このようなことは、これまでの航空機ではあり得ないことであり、世界中のパイロットは誰も経験していないはずである。この新しいシステムとロジックを、ボーイングが正しく航空会社とパイロットに知らせていなかったことも、事故を防ぐことができなかった原因の一つである。パイロットが知らないで、離陸後にいきなり今回のようなトラブルが発生したら、どんな優秀なパイロットでも回復不可能となっても不思議ではない。私自身もこのような人間工学に反したシステムが加わった航空機は、怖くてとても操縦できないと思う。

原因がわかるまで運行停止を求める

 何度も言うが、手動操縦中に水平安定板が機首下げに自動的に動くなどということは、今までパイロットが経験したことのない領域である。したがって、このシステムの改修が終わるまで絶対に飛ばせてはならない。今のままでは、いつまた第3の事故が起こっても不思議ではない。

 現在、ブラックボックスも回収されており、今後は米国家運輸安全委員会(NTSB)が調査に入ることになるので、その中間発表に注目したい。NTSBは独立性を持ち、さまざまな利害にとらわれずに真相を解明してくれる組織だからである。調査の結果、2つの事故に共通する事故原因が特定されることに期待したい。
(文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長)

杉江弘/航空評論家、元日本航空機長

杉江弘/航空評論家、元日本航空機長

1946年、愛知県生まれ。1969年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、日本航空に入社。DC-8、B747、エンブラエルE170などに乗務する。首相フライトなど政府要請による特別便の経験も多い。B747の飛行時間では世界一の1万4051(機長として1万2007)時間を記録し、2011年10月の退役までの総飛行時間(全ての機種)は2万1000時間を超える。安全推進部調査役時代には同社の重要な安全運航のポリシーの立案、推進に従事した。現在は航空問題(最近ではLCCの安全性)について解説、啓発活動を行っている。また海外での生活体験を基に日本と外国の文化の違いを解説し、日本と日本人の将来のあるべき姿などにも一石を投じている。日本エッセイスト・クラブ会員。著書多数。近著に『航空運賃の歴史と現況』(戎光祥出版)がある。
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Twitter:@CaptainSugie

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