--市の中では、あまり話題にはなっていないということでしょうか。
有馬氏 なっていないですね。
--調べれば調べるほどわからないのは、30数億円を国が出してくれるからと、補助金目当ての計画になって、その結果として総額100億円近くなっているといます。和歌山市が18億円、県が14億円など、公費を足し算すると計94億円です。南海電鉄は、安く開発できたと思うのですが。
有馬氏 南海はそれ以上出しているでしょう。再開発のことは詳しく知りませんけれど。
--非常におかしな再開発に思えるのですが?
有馬氏 それは、わかりません。
--市の中では、うまくいっていると判断しているのですか?
有馬氏 再開発の手法って、そんなものですからね。
--国交省が主導して、ここまできたのですか?
有馬氏 主導は和歌山市です。
--(建築設計を担当した)アール・アイ・エーに関してはいかがでしょうか?
有馬氏 そのへんも、よく知らないですね。再開発自体の中身には、あまり関与していないので。
--そういうこともあって、お辞めになったのかなと思ったのですが。
有馬氏 いえ、ぜんぜん関係ないです。
--わかりました。ありがとうございました。
この後も周辺取材を試みたが、有馬氏に関しては、誠実な人物であるとの評判が高い。ただ、地元市民から、次のような指摘が挙がっていることを付け加えておく。
「有馬さん、去年まではすごく暗い表情だったのに、今年の2月議会で見たときは打って変わってスッキリした表情だったのがとても印象的でした。その後に退任されると聞き、やっぱり心労が重なっていたんだろうなと感じました」
どうやら、CCCへの天下り疑惑は筆者の先走りすぎだったようだが、役所で局長まで登り詰めた人物が、自ら手がけたまちづくりが、ようやくこれから形になるというときに職を辞するのは、心残りはないのだろうかという疑問だけが残った。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)