『検察の罠 小沢一郎抹殺計画の真相』(日本文芸社)という物騒なタイトルの本書を執筆したのは、自由党時代から、今回の離党・新党結成劇に至るまで、常に小沢氏と行動を共にしてきた森ゆうこ参議院議員だ。
森議員は、”小沢グループ随一の女闘士”として、2003年、イラク特措法の委員会での強行採決の際に、これに抵抗し、当時自民党議員だった大仁田厚氏と乱闘を繰り広げる腕っぷしと気の強さを見せたことは、多くの国民の印象に残っているだろう。
そんな豪腕議員が新たに闘いを挑んだのが「検察」であった。小沢氏を強制起訴まで追い込むことになった、一連の西松建設事件、陸山会事件、そして検察審査会問題に鋭いメスを入れ、ネットを中心に検察批判を展開してきた。『検察の罠』は、そうした活動の総括であり、この間に森議員が突き詰めた事実や、対峙した法務官僚とのやり取りなどが生々しく記録されている。そして、そこから見えてきたのが、小沢氏の政治生命を奪おうとする「小沢一郎抹殺計画の真相」だ。
昨今はメディアへの露出も多く、注目度も高い森議員に、著作について、小沢一郎という政治家について聞いた。
――政治関連の本が売れない時代にあって、本書はすでに5万部発行。その要因とはなんでしょうか?
森ゆうこ議員(以下、森) 過激なタイトルがよかったんでしょうか?(笑) 西松建設事件や陸山会事件発生後の約3年間、新聞やテレビなどの大手マスメディアでは、「小沢一郎は、政治とカネの問題で真っ黒である」という情報が毎日洪水のように流されてきました。一方、ネット上では一連の小沢先生の問題に関する検察の動きに対して疑問の声が上がっており、私もネットを通して、真実はどこにあるかについて発信してきました。そしてこの4月、小沢先生の裁判は一審で無罪判決を受けました。これらの問題は、本当に複雑でいびつなので、その全体像をわかりやすく知りたいという国民のニーズと本書の内容が合致したのではないでしょうか。私自身、一般にはなじみのない、検察審査会や政治資金規正法の問題を書くにあたって、難しくならないよう気をつけました。それと、まるで推理小説を読むような感じで、「小沢一郎抹殺計画の真相」に近づいていくというスリリングさも出ているのかもしれません。こういうとフィクションのようですが、驚くべきことにノンフィクション。ここに書いていることは、全部事実なのです。
――ネタバレになってしまいますが、「小沢一郎抹殺計画の真相」とは?
森 それはすでに私が各所で発表していることですし、読者だけではなく、すべての国民に知ってもらいたいことです。簡単にいえば、小沢先生は政権交代によって、統治機構も含めた国のさまざまな仕組みを根本から意味で改革しようとしていました。その政権交代を阻止するために、既得権益者を代表する検察、法務省、最高裁などの手によって、一連の小沢事件が意図的に作られた。私は小沢一郎という人は、稀代の政治家であると思っています。こんな政治家は過去20年間いなかったであろうし、これから先もしばらくは出てこないであろうと。それゆえ、既得権益者も脅威に思い、小沢潰しに走ったわけです。私は前々から「小沢一郎抜きでは、政権交代を果たしても、そうした既得権益を守ろうとする人たちに、民主党は赤子の手をひねるようにやられてしまうだろう」と言ってきました。実際に、小沢先生が裁判によって身動きが取れなくなっているうちに、民主党は政権交代前の理念を官僚たちによって骨抜きにされ、国民の信頼も失ったのです。下野するのも時間の問題でしょう。