消費増税反対のメディアに国税庁が“報復的”税務調査?
という意見書を出しています。財務省自身が日本には財政破綻は起こり得ないと認めているわけです。そして、海外純資産は175兆円、外貨準備は50兆円、経常黒字は14兆円、個人の金融資産は1411兆円でいずれも世界最高水準として、日本は「強固なファンダメンタルズ」を有し、なんら問題ないと財務省は結論づけているのです。この数値は、10年末の時点では、それぞれ252兆円、100兆円、17兆円、1488兆円で、状況は当時よりも良くなっているのです。それでも国内に向けては
「日本の財政は大変だ」
「消費税を10%に増税しなければ、国債の信認がなくなる」
「その結果、金利が急上昇して経済もムチャクチャになる」
と危機感を煽っているのですから、これは財務省の完全な「二枚舌」というほかありません。
私も財政規律や財政再建を「どうでもいい」とは言いません。ただ、現在の日本は、デフレが十数年続き、そこに大震災と原発事故が襲い、未曾有の国難の中にあります。また、ユーロ危機に象徴されるように、世界恐慌の足音も聞こえてこようかという時です。このような状況では、まずデフレから脱却し、復旧・復興を含め、経済を成長路線に乗せることを最優先にすべきでしょう。景気が回復し、雇用が増え、給料がアップすれば、それに伴い税収も上がっていくのですから。また、なによりも、国民に負担(増税)を求めるならば「隗より始めよ」です。政治家や公務員が定数や給与をカットするなどの「我が身を切る改革」を断行するべきでしょう。
――ただし、財務省の力は圧倒的だ。事務担当の筆頭総理秘書官、官房長官の事務秘書官、政策統括官、官房副長官補(内政担当)など、官邸の要所要所は財務省のポストになっている。
一官庁が日本の予算、人事、組織、法務、監査部門までを一手に握っているようなもので、権力は強大になっています。もちろん財務省が「財政規律」や「財政再建」を振りかざすことは当然の職責です。問題は、財務省が政府機能の中枢まで植民地化し、「財政の論理」だけを押し通そうとしていることにあります。いわば「財政至上主義」です。どこの会社でもそうですが、経理部がしゃしゃり出てくる会社に将来はありません。やはり、時代の流れを先読みし、時々のニーズを市場からくみ取ってイノベーティブな事業を展開していける、すなわち、将来伸びる会社というのは、企画部とか研究開発部が元気な会社です。これが「日本株式会社」の場合、会長も社長も、専務も常務も、すべて経理部出身といった感じで、いずれ時代の流れに取り残され、廃れていく運命が避けられないのです。
さらにいえば、財務省が本当に「財政再建」をしようとしていると思っている人がいたら、それは大間違いです。財務省の本音は、「夢よもう一度!」、増税でできたお金で自分たちが差配できる権益を多く握り、天下り先を確保することで、かつての大蔵官僚が享受した「大蔵一家」(天下りで80歳まで人生安泰システム)を復活させることを願っているのです。そのためには、政治家や財界に恩を与える。今、自民党が画策している「国土強靭化法案」のような、10年間で200兆円の公共事業をばらまく“シロアリのエサ”についても、自民党の派閥領袖に「黙認するから、その代わりに増税案を通してほしい」と、裏約束を取り付けているのです。財務省はよく「財政規律を追求する我々がそんなに強力なら、借金がこんなに積み上がってはいない」と強弁しますが大ウソです。このような政治家と財務省の貸し借り勘定の結果が、何を隠そう、1000兆円にまで積み上がった財政赤字なのです。
――マスメディアの多くも従順に従っている現状があるが、これには従わざるを得ない「報復」があるためだという。その報復とは、財務省の方針に懐疑的なマスメディアには、下部組織である国税庁の税務調査が入ると囁かれているためだ。税務調査とは、いわゆるマルサとは異なり、所得税法、法人税法に基づいて、帳簿・領収証等が適正に処理されているかの調査が行われるものだが、それでも、マスコミでは取材先などが筒抜けになってしまうために、警戒する。実は、今回、反増税キャンペーンを張ったメディアには国税庁の「報復」的な税務調査が入ったという。