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中国の期限切れ鶏肉使用事件、高い品質管理下でなぜ発生?防止策における3つのポイント

文=有路昌彦/近畿大学農学部准教授

●再発防止で重要なポイント

 もちろんこうした問題を完全にゼロにすることは不可能ですが、回避する方法としては、IT(情報技術)によって原料の履歴から完全に管理するという方法があります。養殖の魚であるなら生簀レベルから、鶏なら養鶏場のロットレベルから群管理するということになります。また、情報が自社の外部に保存されるクラウド管理なら常に外部の目にさらされますので、不正は容易にはできないでしょうし、それを売りにして商談を拡大できる可能性もあります。しかし、そうした対策による生産コスト上昇分は、最終的に消費者が価格上昇というかたちで負担する結果となります。

 今回のような事件の再発防止で重要なことは、次の3点です。

(1)一企業の管理レベルだけではコントロールできないリスクがあり、それゆえ事件を起こした企業批判では解決できない

(2)そのようなリスクは社会的な成熟度の向上によって減少する、つまり時間がかかる

(3)リスクを回避する方法としてはITを使った方法があるが、当然その分のコスト負担が消費者に発生する、つまり安心は無料ではない

 この3点を現地の加工企業だけでなく、商品を購入する企業側がよく理解した上で、トカゲの尻尾切りにならない根本解決、つまり調達加工流通の仕組みとその管理方法の根本改革を行う必要があるのではないでしょうか。その具体的方法を示すことを、この上海福喜食品だけではなく、最終商品を提供している企業にも期待したいところです。
(文=有路昌彦/近畿大学農学部准教授)

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