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ヤフーが検索結果の「見せる」「見せない」を判断することへの違和感と懸念点

文=山岸純/AVANCE LEGAL GROUPパートナー弁護士
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 前記の発表によると、「検索結果に関する一連の作業は、一定のアルゴリズムに基づき自動的・機械的に行われている」とのことです。

 要するに、例えば「弁護士」に関係するウェブページを探し出すことや、「弁護士」に関するウェブページをどう選別して、どの順番で検索結果を表示するかは、すべて自動的に行っていますとのことですので、そこに「ある特定の弁護士のウェブページを、検索結果の上位に表示する」といった恣意的な作業が働いていないのであれば、それ以上に特定のウェブページを「見せる・見せない」と判断する必要はないと思うからです。

 もちろん、「児童ポルノを掲載しているウェブページなど、それ自体が犯罪を構成するウェブページの検索結果を表示することは、幇助(犯罪の手助け)となってしまうリスクがあるので表示しません」というなら、とてもわかりやすいです。

 しかし、ヤフーが発表しているように、「(ウェブページによって)被害を受けた人の法的利益と、その情報を公表する理由を比較衡量してウェブページを表示するかしないか判断します」というものでは、人がやることである以上、傾向、恣意、バイアスがかかるであろうことは目に見えていますし、果たして、ヤフーが「ウェブページで情報を公表する人の利益」のみならず、さらには「ウェブページ上の情報を見たい人の利益」をどうやって代弁するのか、まだまだ議論がし尽くされていないような気もします。

 ここで筆者は、「知る権利」を大上段に構えて議論するつもりはありません。知る権利は、あくまで「情報の入手について国に邪魔されない権利」「国に国の情報の提供を求める権利」といった意味と解釈されていますので、民間企業であるヤフーに対して知る権利を主張する前提を欠くからです。

 そうではなく、インターネット検索サービスを提供する民間企業が定める基準でウェブページを見ることができないとなっては、情報がコントロールされてしまう恐れを感じてしまうからです。「インターネット検索サービスを使わなければいい」という意見もあり得ますが、あまり時勢を理解したものではないと考えるので、ここでは検討を除外します。

 時間がかかる、大量処理ができない、臨機応変な対応ができない、という問題はありますが、やはりウェブページのコントロールについては、国民の権利義務関係を最終的に判断する裁判所などの司法機関が、特定の人の権利侵害の訴えに基づいて判断するべきではないでしょうか。
(文=山岸純/AVANCE LEGAL GROUP LPC執行役・弁護士)

●弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP LPC
東京、大宮、大阪に拠点を持つ、法律のスペシャリスト弁護士法人。特に企業法務全般、交通事故・医療過誤等の一般民事事件、および離婚問題・相続問題等の家事事件に強みを持つ。また、無料法律相談も常時受け付けている。

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