府中市が全国市街地再開発協会発行の機関紙「市街地再開発」に掲載したくるるの紹介を見ても、「施設内及び周辺地区との回遊性を考慮した公開性の高いオープンモール方式を取り入れるとともに、集客力の高い核店舗を地下階及び最上階に配置し、1階部分には地区内営業者を中心としたマーケット、2・3階はファッション店舗及び府中市の子ども家庭支援センター、4階は飲食店舗を配置する計画」と、パチンコ店入居の事実には触れられていない。
府中市に問い合わせたが、「担当課に取り次ぐことも取材対応もいたしません。それは私たちの仕事ではないと思います」(広報課長)と、“知らぬ存ぜぬ”の対応だ。事情を説明できる人間が一人もいないなど、おかしな話だ。一方で、府中市長は今年3月に行われたくるる10周年の記念式典において、長い祝辞を述べている。
管理会社と地権者が紛争、瓦解の危機に立つ分譲マンション
そしてこのくるるの敷地に関して、10周年目にして重大な問題が発生している。2000坪を超える当該土地は再開発の過程で一筆となっており、持ち分の分母はなんと1兆にもなるが、一部の地権者と管理会社である大和地所コミュニティライフ(旧・日綜コミュニティ)がトラブルを起こしているのである。
くるるは大和地所コミュニティライフの親会社、大和地所レジデンスの不動産投資事業部立ち上げの第1号物件であり、同事業の基幹物件として位置付けられていた重要案件である。10周年記念式典には大和地所の押川雅幸社長、旧日本綜合地所の下村俊二社長、旧日綜コミュニティの原旭社長の連名で祝電を贈っている。
くるるに飲食店を出店している地権者が言う。
「私の店では、家庭の事情で一時期人手が足りなくなり、数カ月間だけ知人に店を手伝ってもらっていました。ところが、大和地所コミュニティライフはこれを転貸だとして一方的に店の退去を迫ってきました。話し合いで解決すればいいのに、管理規則を持ち出して調査と退去を要求してくるのみでした。
また、私の経営している別の店で、テラス営業のように屋外にテーブルを出していたら、同社が保健所に通報したり、深夜営業許可の有無を所轄署に問い合わせるなど、こちらの知らないところで行政に連絡していたことがわかりました。ほかの店は平然と外にテーブルを出しているのに、私の店だけいきなり通報されたのです。