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社長の妻が個人的に乗っていた車は経費で落とせるか?
また、会社は、およそ600万円で自動車を買っていました。
しかし、税務調査では、自動車は社長の妻が個人的に使用しており、そもそも個人使用の目的で購入したとして、購入代金の600万円は社長に対する給与であるとされました。これに対し会社側は、「費用は会社が負担している」「自動車は社長の妻が個人的に使用しており、それによる利益は当然受けているから、損金性が否認されることはやむを得ない」との見解を示しました。
つまり会社は、従業員でも役員でもない妻の使用は認めているわけです。通常であれば、この時点で、社長に対する役員給与とされてもおかしくないように思います。
さらに、事実関係を確認すると、自動車の納車場所と保管場所は、社長の妻の家だったそうです。ディーラーに伝えた連絡先は社長の妻のものでした。最初から、妻が使用する目的だったことは明白です。
しかし、審査した国税不服審査所長は、「社長の妻が自動車を個人的に利用しているといえるにとどまるのであって、会社から社長に対して自動車の贈与があった、経済的利益として会社が役員給与を支給したのと同様の効果をもたらしたとまでは認めることができない」として、役員給与には当たらないと判断しました。
社長の妻が乗っているだけなのに、会社の経費で自動車を買えてしまったのです。個人使用は認めているのに、納税者有利の判断がされた珍しい事件でした。
しかし、これは稀有な例です。税務調査に携わる人間なら一様に目を丸くするような判断といえます。どんな場合でも、家賃は合理的な金額を設定し、個人的な支出は会社の損金としないよう心がけるべきでしょう。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)
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