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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

顧問料をケチっていた税理士が税務調査時に「大丈夫でしょう」→3年分の追徴課税!

文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

「法人税と消費税の修正申告をすることになりました。それぞれ3年分です。税務調査の立ち会い料も含めて、◯◯万円頂くことになります。さらに、追徴課税が概算で△△万円です」

 これを聞いて社長は「何を言っているんだ、こいつは」と思いました。「大丈夫でしょう」と言っていたのはなんだったのか。そんな大金、払えるわけがない。「払えません」とはっきりと言いました。電話の向こうで税理士が困っている様子が感じ取れます。しばらくの沈黙の後、税理士が言いました。

「1年分ならどうでしょう? 立ち会い料金は変わりませんが、修正申告書の作成代金と追徴課税は3分の1になります」

 それくらいなら、なんとか支払えそうです。「わかりました」と答え、電話を切りました。ただ、そんなことが可能なのでしょうか。しばらくたって、税務署からしつこく電話がかかってきましたが、すべて無視し、仕事も休んでいました。クルマの修理は従業員に任せ、キャバクラで英気を養っていたのです。

 2週間ほど休んでから仕事に行くと、従業員から「この間、税務署の人が来ていましたよ」と報告を受けました。話を聞くと、「税理士が提出した1年分の修正申告書では調査を終えることはできない。ちゃんと3年分出してくれ」「税理士とも連絡が取れなくなってしまったので、社長が自分で修正申告を書いてくれ」「社長はいつなら会えるんだ」などと言っていたそうです。

 会えば金を払わされることは明らかなので、会うつもりはありません。調査担当者が諦めるまで、仕事は休むことにしました。もちろん、いい加減な仕事をした税理士にも報酬の支払いはせず、月に1万円払っていた顧問料も今後は払わないと決めたようです。

 社長は「いい経験になった」と言っていますが、法人が税理士に支払う月額の顧問料が1万円というのは聞いたことがありません。おそらく税理士の善意で、格安で引き受けていたのだと思います。そのことに感謝せず、税務調査にも非協力的。法人の経営者として、それでいいのかと疑問に思います。税務調査の際に、意見をはっきりと示すことは大切ですが、信義則に反するような行為は慎むべきだと思います。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。著書に『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『お金持ちがしない42のこと』(Kindle版)がある。
さんきゅう倉田公式ホームページ

Twitter:@thankyoukurata

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