金利が引き下げられるのは基本性能の高い住宅
この「フラット35S金利大幅引き下げ」は、2014年度の補正予算により15年2月から実施されてきました。それが、16年1月29日で終了することになっています。もう残された期間は1カ月強です。
期間とともに気をつけたいのが、利用条件です。この金利引き下げは、経済対策の一環として国の予算から補てんされています。国の予算で支援するのですから、住宅ならなんでもいいというわけではありません。税金を使って支援するに値する基本性能の高い住宅でなければなりません。国としては、この制度によって基本性能の高い住宅に誘導し、日本の住宅の底上げを図りたいという狙いもあります。
具体的には、当初10年間の金利が0.60%引き下げられる住宅としては、次の条件のうちいずれかひとつを満たす必要があります。
(1)認定低炭素住宅
(2)「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づく「住宅事業建築主の判断の基準(トップランナー基準)」に適合する住宅(一戸建てに限る)
(3)一次エネルギー消費量等級5の住宅
(4)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅
(5)高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同住宅の専用部分は等級3でも可)
(6)長期優良住宅
8割以上が大幅金利引き下げの適用を受けている
こう列挙すると難しいように感じるかもしれませんが、「いずれかひとつを満たせばいい」ということなので、現実にはそんなにたいへんなことではありません。実際、図表3にある通り、フラット35の申請件数のうち、8割以上はこの「フラット35S金利大幅引き下げ」の適用を受けています。
特に、大手住宅メーカーの注文住宅や建売住宅、大手不動産会社が分譲する新築マンションなどでは、ほぼ例外なく適用されます。問題は、中小の工務店の注文住宅。昔ながらの職人気質の大工さんだとこうした制度に対応できないケースもあるので、注意が必要です。
融資実行が先のことでも権利を確保できる
ところで、住宅ローンは売買契約時に住宅ローンの申し込みを行ってから、融資の実行を受けるまでにかなりの期間がかかるのがふつうです。特に、大規模なマンションだと16年1月に売買契約を結んでも、実際に入居できるのは17年以降などといったケースが少なくありません。注文住宅でも、建築請負契約を結んでから工事を経て引き渡しを受けるまでには半年、1年とかかります。