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ロスチャイルドが世界支配?経済危機の元凶は?陰謀論を真面目に検証してみた

構成=編集部
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–読者は、これまでとはまったく異なるロスチャイルド像と金融の仕組みに驚くのではないでしょうか。

野口 詳しくは本書に譲りますが、まとめると、連銀は「民間と政府の共同経営」です。元米連邦下院議員で、連銀廃止論者として知られるロン・ポールも「民間企業の最悪の部分と公的機関の最悪の部分を併せ持った特殊な組織」と痛罵しています。いずれにせよ、ずさんな陰謀論者が主張するような「完全な私有企業」というのは誤りです。このように、中央銀行陰謀説には荒唐無稽で事実に反するものが多数ありますが、真実もかなり含まれているので注意が必要です。

–どういうことでしょうか?

野口 そもそも、中央銀行制度の特色のひとつは、銀行間の競争や新規参入を制限し、既存の銀行が一定の利益を確保できるようにすること。一言でいえば、合法的なカルテルです。

–カルテルの成立によって、大銀行は中小銀行や新規参入者との競争に脅かされることなく、融資を大幅に増やすことが可能になったということですね。

野口 銀行間に自由な競争があれば、長い目では健全な経営を行う銀行が生き残る一方、無駄な融資を増やした銀行は倒産し、淘汰されます。しかし、中央銀行制度の下では、貸出金利や預金準備などの競争条件が統制されるため、個々の銀行の経営状態に差がつきにくくなります。

 しかし、それは必ずしも「どの銀行も健全な経営を行う」ということと同義ではありません。むしろ、中央銀行が金利水準を下げすぎたり、預金準備率を過度に低めに設定したりすれば、すべての銀行が一斉に不健全な融資拡大に走ります。

–日本も、1980年代のバブル時代に経験していますね。

野口 それでも、「不健全な経営を行っていると、いつか倒産する」という緊張感があれば、銀行経営者も過剰な融資に歯止めをかけるでしょう。しかし、実際は銀行、特に政治力の強い大銀行が倒産の危機に瀕すると、政府が税金を投入して救済してしまいます。

政府・中央銀行こそ、経済危機を生み出す元凶

–それが当たり前になると、もはや銀行経営に規律は働かなくなります。いわゆるモラルハザードの状態ですね。

野口 中央銀行の後押しを受けて銀行が過剰に融資を膨らませると、経済にも悪影響を及ぼします。融資の拡大で世の中に出回るお金が増え、それによって企業が投資を増やしたり、個人が消費を活発にしたりすると、一時的な好景気が訪れますが、それは人為的につくり出されたバブル景気なので長続きしません。やがて崩壊し、反動で不況や恐慌を招くことになるのは、歴史が証明しています。

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