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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

賃上げなき物価上昇で、リアルにお金が減っていく…やるべき&避けるべき行動リスト

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役
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賃上げなき物価上昇で、リアルにお金が減っていく…やるべき&避けるべき行動リストの画像1「Gettyimages」より

 米国債を中心に、世界的な長期金利の上昇が続いています。また、これも世界共通の傾向ですが、株高、失業率の低下、原油価格の上昇、好調な設備投資など、統計面からはインフレ前夜を彷彿とさせる状況です。

 そしてインフレというパズルを完成させる最後のピースは賃金の上昇です。賃金が上昇すれば人々の購買力が上がり、売り手は値段を上げるからですが、こちらのほうは世界的にも上昇率は抑えられています。この要因としては、たとえばテクノロジーの進展などによる合理化やグローバリゼーションによって、より賃金の安いところへ生産現場が移動している点などが挙げられます。

 日本国内を見ても、小売・外食など人手不足が深刻な業種がある一方(もともと賃金水準が高くない業界)、メガバンクなどは大幅な人員削減計画を発表しています。個別の業種や企業を見ると、人材確保のために賃上げをしている企業もありますが、固定費増を招く賃上げよりも賞与で調整したり、内部留保を優先させる企業のほうが割合としては高い。そのため、大多数を占める中小企業のホワイトカラー正社員の待遇が改善される見込みは薄い状況です。

 物価を見てみると、ビール、ゆうパックや宅配便などの配送料、小麦類が値上げされ、2019年には消費税が10%になる予定です。また、昨今の原油高が続けば、ガソリンや電気代だけでなく原油由来のあらゆる価格が上昇しますし、燃料需要の高い漁業やハウス農家にも影響が及びます。そして円安はそれらに追い打ちをかけ、国内景気や賃金水準に関係なく輸入品の物価は上昇します。

 1月には日本銀行が国債の購入額を減らすという報道が出たとおり、日銀も金融緩和のペースを落とし、出口を模索することになるのでしょう。すると日本でも一時的には円高となったとしても、長期金利の上昇、やがては円安という流れになるのでしょうか。そうなれば、「賃上げなきインフレ」という状況が起こる可能性があります。

 年金は年金で支給開始年齢70歳説も出ているうえ、物価の上昇に合わせて支給額も増えるとは限らず(インフレでも据え置きの可能性が高い)、年金のみに依存するのは怖い。そのため「賃上げなきインフレ、実質所得の減少」という流れが本格化する可能性を前提に手を打っておいたほうがよさそうです。仮にそうならなくても、その対策は無駄にはならないはずです。

 そこで将来的なインフレ対策として、やっておきたいことと避けたいことをご紹介します(ただし、政府・日銀がコントロールできなくなった悪性インフレや極端なハイパーインフレではなく、一般的なインフレを前提とします)。

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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