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「満足」があふれる職場であっても、欲求が少ないところに改善はなく、もちろん前進もない。逆に挑戦意欲にあふれた、素晴らしい野心を持った職場においては「満足」の2文字はないかもしれない。
実際、測定すべきは「従業員満足度」ではなく、「従業員が成果を上げている実感があるか」「従業員に適切な挑戦の場があるか」「従業員に能力向上の実感があるか」などであり、「満足度」を測定することには企業としてあまり意味がないばかりか、間違った方向付けをしてしまう危険すらある。
従業員の満足度が高い会社であるからといって、働きがいのある会社とは限らない。離職率が高いからといって悪い会社とは限らない。むしろ現状に満足しない社員が数多くいるからこそ、「活性化している会社」もある、ということなのだろう。
これから「従業員満足度調査」を行おうとしている会社があれば、ぜひ振り返ってほしい。19世紀の著名な哲学者J・S・ミルは、著書『功利主義論』において、「満足な豚であるより、不満足な人間であるほうが良い。同じく、満足な愚者であるより、不満足なソクラテスであるほうが良い」と述べた。
本当に従業員に「満足」してほしいのか。それとも、従業員に「不満足」でいてほしいのか。もちろん伸びる企業は、後者の社員が大半を占める企業である。
(文=安達裕哉/経営・人事・ITコンサルタント)
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