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【2】“黒い会社”を生み出す日本型雇用の限界

ワタミにユニクロ……不況下で伸びている企業はキケン!?

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 今野氏いわく、現状を打開するためには「高福祉、低命令、低処遇」の社会を目指すしかないという。要点をまとめると、「国が社会福祉を充実させ、企業の命令権を法規制で弱める。その代わり、労働者は給料などの処遇を低い水準で我慢するという方策を取る」という主張だ。

「社会福祉をしっかりやれば、中小企業は関連の仕事が増え、国内産業を育てることができます。そして、子どもを育てられるような状態ができ、少子化にも歯止めがかかって内需の拡大が期待できます。つまり、高所得で海外旅行に行きまくるなどといった生活は我慢しましょうということです」(同)

 経済成長に関する考えの是非はこの場では置いておくが、現在の社会構造がブラック企業を生んでいる以上、日本社会を法制度などから改革していく必要があるということは間違いないだろう。もちろん、個々の企業が法律を遵守し、社員のワークライフバランスを考えることを前提としての話ではある。その上で、これまで見てきたように、ブラック企業が生まれる背景として、個々の企業の問題だけにとどまらず、日本社会全体の問題が存在することを忘れてはならない。

 また、こうした社会構造に欠陥がある中で成長している企業は、売り上げを伸ばすために「無理」をしている可能性があると、前出の新田氏は指摘する。その「無理」が、社員にとっては「ブラック」になっているとも考えられる。

「オフィスから椅子を全廃したキヤノン電子など、現在、『革新的経営』ともてはやされている企業などは、裏で従業員にしわ寄せがいっていることも多い。カリスマ的経営者がメディアで発言し、称賛を得ているケースをよく見かけますが、とどのつまりそういった企業は、経営者にとっての『優良企業』であることが大半です」(新田氏)

 すべての企業とまでは言わないが、このご時世で企業を成長させていくためには、低賃金で長時間働く従業員がいるにこしたことはない、というのが経営者としての本音ではないだろうか。もしそのような考えを経営者が持っているのなら、世間や従業員に対し、さまざまな詭弁を弄して、自身や企業に都合がいい「革新的経営」の正当性を保ち続ける必要がある。そこで、次ページからは、企業経営者たちの著書やインタビューを参考に、彼らが発した名言に潜む、企業の「ブラックさ」を検証していきたい。
(文=宮崎智之)

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<目次>
【1】電力会社社員が語る”大飯原発”再稼働問題
【3】芸能マネージャーが選ぶ”本当に働きたい”芸能プロ
【4】原発お膝元のイビツな利権構造

BusinessJournal編集部

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