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小薮浩二郎「食品の闇」

ビールに含有の食品添加物が原因で死者続出!動物実験での安全性評価はアテにならず

文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問
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ビールに含有の食品添加物が原因で死者続出!動物実験での安全性評価はアテにならずの画像1「Thinkstock」より

 私が以前、非常勤講師をしていた時に使用していた食品衛生学のテキストに、次のような記述があります。

「1963年以来アメリカ、カナダなどの一部のビール会社がビールの泡を安定化させるために、ビールにコバルト塩を添加するようになりました。ところが、コバルト塩を添加し始めて約半年後から、ビール愛飲家の間に急激に悪化する心筋障害を特徴とする奇病の発生が認められるようになりました。たとえば、カナダのケベック州では50名が発病し20名が死亡したと報告されています。それから4年後の1967年になって、この奇病の原因がビールに添加されていたコバルト塩であることが判明しました。この病気はコバルトビール心筋症と命名されました。コバルト塩の添加は中止され患者の発生もなくなりました。

 患者のコバルト塩の摂取量は一日当たり5~10ミリグラムと推定されましたが動物での試験では毒性を示すことはなかったのです。この心筋症はコバルト塩をアルコール(ビールはアルコールを含みます)とともに摂取することにより発症することがわかりました。
またコバルト塩の毒性はタンパク質やビタミンB1の欠乏によって増強され、コバルトビール心筋症が発症することがわかりました」(『食品衛生学』<水谷民雄/培風館>より)

 もしコバルト塩の毒性が、この例のように急激に悪化し死亡する心筋症ではなかったらどうでしょう。1~3年ぐらいビールを飲んでいたらがんになるとか、神経が徐々に侵され半身不随になるといった症状でしたらどうでしょう。誰もコバルト塩の毒性に気づくことなく、現在でもコバルト塩添加のビールをおいしそうに飲んでいるかもしれません。ぞっとしますね。

動物実験では「安全」

 この非常に悲惨な事例は、次のような大変貴重な教訓を私たちに残してくれました。

(1)動物で添加物の安全性を調べた結果から人間に対する安全性を推定することが、いかに難しいことであるか。動物試験の結果から得られた安全量に一定の安全係数を乗じて、人間に対する安全量を算出することによって「添加物は安全」ということになっているのですが、皆様はどのように思われますか。コバルト塩の場合も、同様の方法でビールに使用されていたのです。

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

1945年、岡山県生まれ。九州大大学院農芸化学専攻(栄養化学講座)修了。製薬会社の研究部門ほか、添加物開発の最前線で添加物研究に従事する。研究歴40年以上で、第一人者。現在は、食品会社の顧問、食品販売会社特別顧問(品質管理)に携わる。著書に「悲しき国産食品」「食品業界は今日も、やりたい放題」「食品選び・おとなの知恵 ちょっと高くても、コッチ!」など。

Twitter:@eQuqANeNct8MdU5

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