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「雑草系臨床心理士・杉山崇はこう考えます」

妬みを成功に変える人たちの「共通の条件」

文=杉山崇/神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授、臨床心理士
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妬みを成功に変える人たちの「共通の条件」の画像1「Thinkstock」より

妬むことは、たしなめられ……

 子どもの頃、友だちと自分を比較して残念に思ったことはありませんか? たとえば自分よりいいオモチャやゲームを持っていた、あるいは自分の家よりいいところに旅行やレジャーに行った、などが「ありがち」なようです。

 そんなとき、親に妬ましい思いを訴えると、親はどのように反応したでしょうか? ほとんどの場合で子どもをたしなめるようです。「人を妬んでもいいことはない」と妬ましい気持ちを否定することがほとんどでしょう。

妬みは何も生み出さないのか?

 実際、多くの場合で人を妬んでも何も生まれません。自分より業績を上げた人や異性にモテる人を妬んでも、業績は上がりませんし、異性にもモテません。妬みは脳内で「心の痛み」を生み出すネガティブ感情のひとつなので、苦痛を生むだけで終わることがほとんどです。親が子どもの妬みをたしなめるのはある意味で正しいことです。

 ですが、心理学的には人の心にムダなものは一切ありません。使い方が難しいこともありますが、人が持つあらゆる感情は何かを生み出すためのものなのです。妬みもそのような感情のひとつです。では、妬みを上手に使えば何を生み出せるのでしょうか。

妬みが生み出すものは成功だが、その反動で失うものも

 妬みが生み出すもの、それは社会的な成功です。妬みは「私たちが欲しいもの」を教えてくれる感情なのです。そして、欲しいものを手に入れるモチベーションも私たちに与えてくれます。ただ、ひとつ残念なことは「欲しいものの合法的な獲得法」は教えてくれないのです。

 そして現代社会のなかで何かを手に入れるには時間がかかります。多くの人は手に入れるまでの長い間、心の痛みを抱え続けることを嫌がります。心の痛みは心の余裕を奪うので、人を思いやることも日々を楽しむことも難しくなってしまいます。ここで欲しいものを諦める、または妬みを忘れてしまえば、妬みによる苦痛もなくなり心の余裕も取り戻せます。要は、妬みの向こうにある成功よりも、諦めることの快適さに流されてしまうのです。

杉山崇/神奈川大学人間科学部教授、臨床心理士

杉山崇/神奈川大学人間科学部教授、臨床心理士

心理学者。神奈川大学大学院人間科学研究科委員長。心理相談センター所長。公益社団法人日本心理学会代議員。一般社団法人日本キャリアカウンセリング学会副会長。法政大学大学院講師。学習院大学大学院人文科学研究科にて心理学を専攻。在学中から、子育て支援、障害児教育、犯罪者矯正、職場のメンタルヘルスなど、さまざまな心理系の職域を経験。心理学と脳科学を融合した次世代型の心理療法を目指す。心理学だけでなく社会学、人類学、マーケティング、児童学、家族学、犯罪学、進化学、認知神経科学などにも造詣が深い。
杉山崇 オフィシャルサイト

Twitter:@sugys_lab

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