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田中圭太郎「現場からの視点」

日大、不当な講師一斉雇い止めで労基法違反の疑い…刑事告発と提訴相次ぐ、報復恐れる講師も

文=田中圭太郎/ジャーナリスト
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日大、不当な講師一斉雇い止めで労基法違反の疑い…刑事告発と提訴相次ぐ、報復恐れる講師もの画像1提訴のため東京地裁を訪れた日大の非常勤講師と弁護団(撮影=田中圭太郎)

 非正規で働く人にとって、2018年4月以降、大きな変化が訪れている。2013年4月の改正労働契約法施行から5年が経過したことにより、同じ職場で5年以上働いている人は、無期雇用への転換を申し込む権利が得られるようになった。

 しかし、職場がこの法律を正しく理解していないか、もしくは意図的に無視することによって、無期雇用への転換を妨げるようなケースが起きている。顕著なのは、多くの非常勤教職員が働いている大学だ。

 今、何が起きているのか、無期雇用への転換を希望している当事者に聞いた。

無期転換を申し込んでも返事がない

 5月19日、東京都千代田区の会議室で、無期雇用についての相談会が開催された。参加したのは大学で5年以上働いてきた非常勤教職員。その場に寄せられた声は、相談にあたった関係者を驚かせた。

「無期雇用への転換を申し込みましたが、大学から返事がありません」(私大・女性)

「大学がまったく情報を出さないので、無期雇用に転換できるのかわかりません」(国立大・女性)

「無期雇用に転換してほしいと大学に申し込んだら、準備ができていないと言われ、そのままです。どうすればいいのでしょうか」(私大・女性)

 改正労働契約法では、同じ職場で5年以上働く非正規労働者は、無期雇用に転換する権利が得られることになった。2018年4月以降に5年が経過した場合、自分で申し込むことによって、次の契約の年から無期雇用になる。

 今年3月末までは、多くの大学が無期雇用に転換することを嫌がって、非常勤講師や職員を雇い止めしようとしていた。そのうち東北大学では、非常勤職員の雇い止めを強行して、雇い止めされた元職員による仮処分申請や労働審判の申し立てが行われるなど、現在法廷闘争に発展している。

 一方で、やはり雇い止めを計画していた東京大学や名古屋大学は方針を撤回。無期雇用に転換していくことを表明した。これらの大学ではすでに手続きが進められている。

 しかし相談会では、無期転換を認めているはずの大学が、申し込んでも対応してくれないと話す人が多かった。多くの大学で、法律をまだ正しく理解していない可能性がある。特にチグハグな対応をしているのが日本大学。相談会にも、日本大学で働いているか、すでに雇い止めされた非常勤講師が多く訪れていた。

田中圭太郎/ジャーナリスト

田中圭太郎/ジャーナリスト

ジャーナリスト、ライター。1973年生まれ。大分県出身、東京都在住。97年、早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年からフリーランスとして独立。警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピック、大相撲など幅広いテーマで執筆。著書に『ルポ 大学崩壊』(ちくま新書・2023年2月9日発売)、『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)。メールアドレスは keitarotanaka3000-news@yahoo co.jp、 HPはジャーナリスト 田中圭太郎のWEBサイト

Twitter:@k_taro_tanaka

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