日大、不当な講師一斉雇い止めで労基法違反の疑い…刑事告発と提訴相次ぐ、報復恐れる講師も
日大は学部によって異なる対応
日本大学は、2016年度以降に新規採用した非常勤講師の契約更新を、上限4回とする就業規則を2017年10月に導入した。この就業規則が、無期雇用を逃れることを目的にしているのは明らかだ。そればかりではなく、導入の際に法律に沿った手続きをとっていない可能性があるとして、今年2月に首都圏大学非常勤講師組合から労働基準法違反の疑いで刑事告発された。
さらに日本大学は、最低でも4年間の雇用を約束していた、危機管理学部とスポーツ科学部の英語の非常勤講師15人を、今年3月末、一斉に雇い止めした。6月22日には、雇い止めされた非常勤講師ら8人から、地位確認を求める訴えを東京地裁に起こされている。
日本大学はこの2学部以外では、長年働いてきた非常勤講師の無期雇用を一応認めているものの、学部によって対応が異なっているようだ。非常勤講師によると、商学部や法学部は申し込みを受け付けているが、文理学部では無期雇用に関する説明は行われていない。
組合を通して団体交渉で無期転換を申し込むこともできるが、日本大学の場合、自分が組合員だとは表明しにくい雰囲気があるという。
日本大学はアメフト部の危険なタックルと、内田正人元監督の指示はなかったとする大学の対応が問題になっている。この問題をめぐり、教職員組合が改革を求める署名を集めたが、報復人事を恐れた学部や高校の職員が賛同しなかった。
内田元監督は最近解任されたものの、人事担当常務理事と人事部長を兼ねていた人物。タックル問題と同じように、組合を通してでも大学に異を唱えることは、「あとでどんな嫌がらせを受けるかわからない」(日本大学に雇い止めされた女性)ので、はばかられるというのだ。
ただ、相談会を主催した首都圏大学非常勤講師組合の志田昇書記長は、「無期雇用への転換は法律で定められた権利なので、泣き寝入りする必要はない」と話す。
無期雇用への転換を断られたら
志田書記長は、大学から説明がない場合でも、まず自分で無期雇用への転換を申し込むことを勧めている。
「申し込みは口頭でも受理されることになっています。ただ、言った、言わないをめぐって、あとから問題になる可能性がありますので、文書を提出して記録を残すほうが無難です。親切な大学は、大学側が申し込み用の文書を用意しています」(志田昇書記長)