やっと手に入れた実家や自宅、建て替えも売ることもできない悲劇…老朽対策で莫大な費用？

　また、フルリフォームには費用面でのデメリットもある。想像以上にお金がかかるため、かえって新築のほうが安く済むケースもあるという。

「家は、ゼロからつくるほうが簡単なのです。フルリフォームにかかる費用が、最終的には新築を建てる費用とほぼ変わらないという場合もあります。安全面を第一に考えるため、間取りなどは希望通りいかないかもしれません。そうなると『同じくらいのお金で、新築マンションを買う』という選択肢も出てくるため、悩む人が非常に多いのです」（同）

　塩谷氏は、決断する際のポイントとして「その土地に思い入れがあるかどうか、その土地に何年住みたいか」だと語る。

「今後の人生をどこで過ごしたいのか、に尽きると思います。『新築をあきらめてでも、その土地に住み続けたい』という思いが強いのであれば、リフォームを選ぶべきです」（同）

　終戦直後の混乱をいまだに引きずっているかのような、再建築不可の問題。お金をかけてフルリフォームするか、手放して新しい家を買うか……。当事者にとっては、悩ましい話に違いない。
（文＝中村未来／清談社）