
今年2月、元プロ野球選手の清原和博被告が覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕され、5月には懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決が言い渡された。現役時代はスーパースターだった清原容疑者だが、引退後は仕事の激減や離婚を経験しており、ストレスやプレッシャーも多かったのだろう。
そんな精神的苦痛から逃れるために芸能人が覚せい剤に手を出すというエピソードは、スキャンダル系週刊誌によく掲載される。しかし、覚せい剤に手を出すのは精神的苦痛にさいなまれている人ばかりとは限らない。
「平成3年 警察白書」によると、一般の人が薬物に手を出す理由として多いのが、「疲れがとれる」「ダイエットになる」などの言葉に誘惑されての興味本位が64.7%で、薬物乱用者の動機のトップとなっている。そして、使ってみるとクールな爽快感や高揚感に包まれ、やめられなくなるという。
特に、薬物を使用した性行為は快感が何倍にも増幅して虜になってしまうという声もよく聞く。実際、前出の「警察白書」でも、薬物乱用者の20.6%がそう感じたと証言している。しかし、やめられなくなるほどの性的快感などあるのだろうか。ヤクザ映画などでは「俺から離れられないカラダにしてやるぜ」といって、女性を性奴隷にしてしまうシーンがある。
そして、そういう技術を持った男性を「竿師」とも呼ぶ。もちろん、釣り竿をつくる職人の意味ではない。古くから使われている言葉のため、その存在自体にも歴史があるということになるが、そもそも、そんな技術など存在するのだろうか。そして、そんな技術を手にすることは可能なのだろうか。
ヒモ同然の暮らしをしている知人に竿師について聞いてみると、彼は「竿師は実在する」という。実際に竿師を紹介してもらって話を聞いた。
確かに、竿師は実在した。そして、実際に、女性の家に転がり込んで性行為によって生活費を出してもらうというヒモ的な生活をしていた。ただし、彼は「映画や小説に出てくるような、すごい性テクニックなど持っていない」と語る。
彼の話では、竿師の技術のベースは人間観察力だという。
「ご存じだと思いますが、人間には、それぞれ欲求があります。金銭欲、支配欲、食欲、出世欲、名誉欲……。そのなかに、もちろん性欲もあります。そして、誰にでも、それぞれ一番強い欲というものがあるんです」
言われてみると、「どうしても食欲には勝てない」「金銭欲が何にも勝る」という人は、身近にもいるのではないだろうか。そうなれば、当然「何よりも性欲が強い」という人もいるはずだ。男性であればなんとなくイメージできるが、実は女性にも「すべての欲のなかで、性欲が一番強い」という人が存在するのだ。
もちろん、それをあけすけにしている人は皆無だろうが、それを見極める力こそが竿師の力量なのだという。