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病的な浪費癖の悲惨な末路…借金ふくらみ仕事も友人も失う、絶対治る方法?

文=青柳直弥/清談社
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病的な浪費癖の悲惨な末路…借金ふくらみ仕事も友人も失う、絶対治る方法?の画像1「Thinkstock」より

 給料が振り込まれた途端に買い物や飲み食い、ギャンブルなどに無計画にお金を浪費し、給料日から一週間もたたないうちに生活費をすべて使い果たしてしまう……。あなたのまわりにも、こんな「浪費癖」のある人がいるのではないだろうか。

 なかには、給料だけではなく、クレジットカードのキャッシングや周囲に借金をしてまで浪費を繰り返す人も少なくない。ここまでいくと、もはや「癖」では済まされないレベルとも思える。

 こうした浪費癖は、いったい何に起因するもので、改善することは可能なのだろうか。臨床心理士の山名裕子氏に話を聞いた。

見極めが難しい「浪費癖」と「依存症」

 浪費癖とまではいかなくても、お酒が入った時などに後先を考えずに持ち金を使ってしまい、翌日に激しく後悔するというのは、誰でも一度ぐらいは経験があるはずだ。しかし、こうしたことを何度も繰り返す人は、浪費癖を疑ったほうがいいかもしれない。

「一口に浪費癖といっても、それが単なる『癖』なのか、何かに依存してしまっている『依存症』なのかによって、対処法も変わってきます。まずは自分が浪費癖なのか、依存症なのか、自分の浪費のレベルがどの程度なのかを把握する必要があります」(山名氏)

 しかし、山名氏によると、「浪費癖」と「依存症」の見極めは非常に難しいという。

 例えば、ブランド物を買い漁ったりパチンコにお金をつぎ込んだりする人がいても、それだけで「買い物依存症」「ギャンブル依存症」であるかどうかは判別できない。境界線となるのは、日常生活に支障をきたしているかどうかだ。

「例えば、仕事をせずにギャンブルをやったり、嘘をついて借金を重ねたりするなど、もはや自分でコントロールできず、どんどん深刻な状況になっていくのは『依存症』です。

 一方、浪費『癖』は、他人に迷惑をかけることもそれほどなく、生活に支障をきたすギリギリのラインで生活できている。困った状況ではあるけれど、なんとか生きていけている状態の人を指します」(同)

自信家や完璧主義、孤独な人は浪費癖に陥りやすい

 山名氏によれば、浪費癖や依存症には、以下のチェック項目に当てはまる傾向を持つ人が多いという。

(1)心の居場所がない人(家庭や職場で、孤立感や孤独感を抱えている)
(2)過去になんらかのトラウマを持つ人(親のDV、家庭不和など)
(3)人付き合いがよく、見栄っ張りな性格の人
(4)上昇志向が強く、自己満足度が低い人(「俺はこんなもんじゃない」という思いが強い)
(5)自信家、完璧主義の人
(6)家族や交際相手に金銭的サポートを受けている人
(7)幸せに対する感受性が低く、小さな幸せを見つけることが苦手な人

 このうち、ギャンブル依存症に比較的多いのが、(5)の「自信家、完璧主義の人」だ。

ギャンブル依存症には、『いつか、自分は勝てる』という根拠のない自信を持つ人が多い。これまでも逆境をなんとかすり抜けてきたという経験が次第に癖になり、少額では満足できず、どんどん賭け金が吊り上がっていくんです」(同)

 一方、アルコール依存症に多く見られるのは(1)の「心の居場所がない人」だという。

「寂しさを埋めるためにお酒に走ってしまう傾向が強いので、アルコール依存症の場合は、心のすき間を埋めるための別の趣味をつくることが大切です」(同)

自己満足度の低さも浪費の原因に

 実をいうと、筆者自身、一人暮らしの部屋に帰りたくないために毎晩のように飲みに行き、浪費を繰り返している「問題のある大人」の一人だ。

 とはいえ、寂しいという自覚はそれほどなかったが、山名氏は「おそらく現状に対する自己満足度が低く、それがお酒に走らせている原因では?」と指摘する。心の居場所がないだけではなく、自己満足度の低さも、浪費の一因になっているというのである。

「そういうタイプの人は、なるべくお金のかからない趣味、それも家でできるものと外でできるものの両方持つことをおすすめします。さらに、『サードプレイス』というのですが、自宅や会社・学校以外に、3つ目の自分の居場所を持つことも有効です。孤立感を埋めるのが目的なので、できればスポーツジムなど、人との関わり合いがある場所のほうが効果的です」(同)

 ジークムント・フロイトやカール・グスタフ・ユングと並ぶ心理学の巨人の一人で、哲学者でもあったアルフレッド・アドラーも「人は、人に貢献することで居場所をつくれる」という言葉を残していたという。では、浪費癖はどうやって改善させればいいのだろうか。

「『癖』の人の場合は、もう『お金が入ったら使う』という習慣や流れができています。給料が10万円でも100万円でも、同じように使ってしまう。使い切るという脳になっているわけです。専門の認知行動療法では、環境、行動、体、感情、考え方(認知)、この5つはすべて影響し合っているとされていますが、自分を変えたいのであれば、この5つのどれかにアプローチすることが必要でしょう」(同)

周囲が借金を返している間は絶対に治らない!

 例えば、「行動」にアプローチするなら、どこでお金を多く使っているか、何に無駄に使っているかを知るために、小遣い帳をつけるのも有効な方法だという。

「今なら、家計簿アプリの『マネーフォワード』を使うといいと思います。銀行口座やクレジットカードとも連携できるので、自分の全財産が一目でわかり、かなりブレーキがかかります。私自身、これまではわりと後先を考えずに洋服などを買ってしまうほうだったのですが、このアプリを使うようになってから、カードの明細も見るようになり、少しずつお金が貯められるようになりました」(同)

 また、「環境」へのアプローチでは、結婚や引っ越し、転職などでガラッと生活が改善するケースも多いそうだ。

浪費する人は、『これまで、意外となんとかなってしまった』という人が多い。ただし、依存症レベルの人は、その人の借金を親などが返してしまっている間は絶対に治りません。周囲がよかれと思って助けることが、さらなる悪化につながっていきます。『コントロール障害』といって、自分の意思ではどうにもできないほど厄介なのが依存症です。しかし、浪費癖であれば、絶対に治すことができます」(同)

 浪費癖のある人は、自分や周囲になんらかの言い訳をして変わろうとしない人が多い。しかし、前述のアドラーは「変われない」という人を指して「変われないのではなく、変わらないという選択を自分でしているだけだ」とも言っている。

 気がついたら仕事も友人も何もかも失っていた……などということにならないために、筆者を含め、身に覚えのある人は自分を変える努力をしたほうがよさそうだ。
(文=青柳直弥/清談社)

●「山名裕子オフィシャルブログ

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せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

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