
東北新幹線で仙台に向かう際、大宮駅からおばあさんと孫の2人連れと相席になりました。おばあさんは「クッキーは体に良いから、どんどん食べなさいよ」と、4~5歳の小さな孫に盛んにすすめていました。私は、「おばあさん、それは昔の話ですよ」と、のどまで出かかりましたが、おばあさんの気分を害しては申し訳ないと口には出しませんでした。
このおばあさんに限らず、年配の方にはクッキーは手づくりのイメージがあるのか、健康に良いと信じ込んでいる人が結構多いようです。昭和の時代、クッキーは小麦粉、砂糖、塩、卵を原料に固めて焼くだけという素朴な方法で家庭でも広くつくられていました。
しかし、現在、そうした素朴なクッキーをつくる家庭は非常に少なくなりました。新幹線で同乗したおばあさんが孫に食べさせていたクッキーも、大手菓子メーカーのものでした。
市販されているクッキーは、低級な品質の悪い輸入小麦粉を原料に、着色料、人工甘味料、合成香料、膨張剤、強化剤など、たくさんの食品添加物を使って安く大量につくられています。とても、「クッキーが体に良い食品」とはいえなくなっているのです。まして、小さな子供にはとても勧められません。
クッキー同様、ビスケットも危ない食品です。そもそも、クッキーはビスケットの一種に分類されます。ビスケットにはいろいろな種類があり、公正取引委員会では、「ビスケット類の表示に関する公正競争規約第2条」で、ビスケット類とは、「ビスケット、クラッカー、カットパン及びパイ並びにこれらの加工品」と規定しています。
クッキーはビスケットの一種で、手づくり風の外観を有して、全体に占める糖分と脂肪分が40%を超えると、クッキーと呼ばれます。スーパーマーケットやコンビニエンスストアではクッキーが圧倒的に多く販売されていますので、ここではクッキーを選ぶ際の注意点を指摘することにします。
もっとも注意すべき点は、原材料にマーガリン、ショートニングが使用されていないかどうかです。これらは、摂り過ぎると心疾患のリスクを高めるトランス脂肪酸を含みますので、注意が必要です。
次に留意する点は、グルコース(ブドウ糖)、フラクトース(果糖)、マルトース(麦芽糖)などの還元糖が使われていないかどうかです。高温加熱で食品中のアミノ酸の一種であるアスパラギンが還元糖と反応して、遺伝毒性や発がん性が懸念される化学物質「アクリルアミド」に変化することが国際的に確認されているからです。還元糖に替わって非還元糖の砂糖、トレハロースが使用されているクッキーなら、アクリルアミドの心配はありません。