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金正恩とプーチン、首脳会談計画

構成=長井雄一朗/ライター
金正恩とプーチン、首脳会談計画の画像1ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(写真:AP/アフロ)

 挑発行為を続ける北朝鮮と経済制裁を強化する国際社会の駆け引きは、どう収束するのか――。

 9月18日付記事『北朝鮮と米国、お互いに軍事攻撃できない可能性』では、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長で在日コリアンの高英起氏の話をお伝えした。

 高氏によると、北朝鮮問題のカギとなる中国は北朝鮮との裏ビジネスも活発で、「潰せない」事情があるという。では、北朝鮮の外交姿勢や軍事力についてはどうか。

幻に終わった「金正恩・プーチン会談」計画

――北朝鮮がもっとも重要視している人物は誰ですか。

高英起氏(以下、高) 北朝鮮は、「もっとも敵対している国のトップを落とせば、ほかの周辺諸国はどうにでもなる」と考えています。そのため、最重要視しているのはアメリカのドナルド・トランプ大統領です。北朝鮮はアメリカと交渉して核保有国として認めさせたいと願っています。

 友好国の順番でいえば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、中国の習近平国家主席、シリアのバッシャール・アル=アサド大統領、キューバのラウル・モデスト・カストロ議長。首脳同士で祝電をやりとりしているのは、この4カ国です。

 特に、金正恩朝鮮労働党委員長のプーチン大統領に対する信頼は厚く、イメージ的には「頼れるおじさん」といったところでしょうか。9月9日の北朝鮮の建国記念日には、プーチン大統領が金正恩に祝電を送っています。

 実は、5月にロシアが軍事パレードを行う際に金正恩を招待してプーチン大統領と会談を行うという計画がありました。これには金正恩も乗り気だったのですが、ロシアと北朝鮮の接近を危惧した中国が「待った」をかけ、この首脳会談は幻に終わりました。

 金正日が旧ソビエト連邦で生誕しているという事情もあり、北朝鮮のロシアやヨーロッパ文化に対する憧れは大変強いです。金正恩もスイスに留学しています。

 一方で、これは民族感情の問題ですが、朝鮮人は漢族中心の中国人を好んではいません。中国朝鮮族(中国在住の朝鮮民族)が、同じ中国人であっても「漢族と一緒にされたくない」という思いがあるように、朝鮮人と中国人の間には民族感情の深い溝があるのです。

――北朝鮮の外交姿勢は李朝末期と非常に共通していますね。役者が少し変わっているだけで。

 そう。北朝鮮は常に大国を翻弄して、遊泳しています。時代とプレイヤーが変わっているだけです。李朝末期には清国と日本の間を、日清戦争で日本が勝つと日本とロシアの間を遊泳し、日露戦争で日本が勝つと日本に併合されました。日本の第2次世界大戦の原点ともいえる戦争は日清戦争ですが、もし日本が朝鮮の権益を争わなければ、第2次世界大戦は起きていなかった可能性もあります。

 日韓併合については、それによって社会インフラが整備された面もあり、一概に否定することはできませんが、最後に日本は朝鮮の権益をすべて失い、36年の統治を全否定されました。そして、北朝鮮建国後は旧ソ連と中国の間をうまく遊泳し、中国と韓国の国交樹立や旧ソ連崩壊後は保護国がなく苦労しましたが、ロシアと中国の台頭によって再び遊泳術を活用しています。そして、今はアメリカとの交渉を望んでいるわけです。

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