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ブームの肉だけダイエット、健康障害の危険性…尿路結石・排便障害リスク増

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「Thinkstock」より

肉だけダイエット」が話題となり、テレビ番組や雑誌で検証する企画を多く見かけるが、なかには2週間で5kg以上も減量したという結果もあり、見た人たちの関心を引いていた。筆者の周りでも実践した人が少なくない。確かに、理論的に考えても減量が期待できることは間違いではない。しかし、健康障害を起こす可能性もあることを認識していただきたい。

 肉だけダイエットは、読んで字のごとく肉を中心に食べる。つまり、それによってタンパク質を多く摂取するわけだが、タンパク質が筋肉の形成を促し筋肉量がアップすると、体重減少が期待できる。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、体脂肪が落ちやすいと考えられる。テレビ番組などで検証したように、2週間など短期であれば、トレーニングと組み合わせて行えば体重減少を実感しやすく、大きな健康障害はないと思われる。だが、長期にわたり肉だけダイエットを続けた場合は、健康障害を招く危険性が高い。

 タンパク質は、筋肉、内臓、皮膚、爪、毛髪など、私たちの体をつくるのに欠かせない栄養素である。一口にタンパク質といっても、20種類のアミノ酸の組み合わせにより、多くの種類が存在する。食品から摂取したタンパク質は、アミノ酸に分解されて体に取り込まれた後に、必要なタンパク質へと再形成される。それが体内で吸収、代謝され、排泄などに必要な酵素や免疫の中で重要な役割を担う免疫グロブリンをつくる原料となる。

 役割から考えると、タンパク質は私たちの体に不可欠であるのは間違いないが、肉だけ取ればよいかというと、そうではない。健康な体を維持するためには、炭水化物、たんぱく質、脂質の「三大栄養素」に、ビタミン、ミネラルを加えた「五大栄養素」が不可欠だ。また、最近では五大栄養素に加え食物繊維の大切さも注目されている。

 また、タンパク質には動物性タンパク質と植物性タンパク質がある。動物、魚介類由来のタンパク質が動物性タンパク質で、米、小麦、大豆、一部の果実の植物由来のタンパク質が植物性タンパク質である。多くの動物性タンパク質には9種の必須アミノ酸が含まれるが、植物性タンパク質には必須アミノ酸が含まれていないものもある。また、動物性タンパク質は高カロリーになりがちだが、大豆などの植物性タンパク質は比較的低カロリーで、バランスよく摂取することが理想だ。

 肉だけダイエットを長期間続け、タンパク質を摂りすぎると、尿路結石ができやすくなる。また、過剰に摂取したタンパク質は肝臓や腎臓で分解・排泄されるため、肝臓や腎臓が疲労し、機能低下を招く危険もある。余分なタンパク質が腸内へ運ばれ悪玉菌のエサとなるため、腸内環境の悪化を招き、便秘や下痢などの排便障害や、においのキツい放屁が増えるなどの現象が起きる。筆者が患者と話すなかでも、尿路結石の患者には「肉中心」の食生活を好む人が多い。

 成人病予防、メタボリックシンドローム予防には、生涯継続しての栄養バランスの良い食生活や適度な運動などの取り組みが必要である。何事も適正量が重要で、何かに特化したダイエット法よりも腹八分目を心がけるほうがダイエットにも健康維持にも有効である。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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