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麻原彰晃の死刑執行を批判する「真相究明の会」森達也氏に、被害対策弁護団・滝本太郎氏が反論

文=深笛義也/ライター
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麻原彰晃の死刑執行を批判する「真相究明の会」森達也氏に、被害対策弁護団・滝本太郎氏が反論の画像1オウム真理教元代表の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚(提供:ロイター/アフロ)

 一連のオウム真理教の事件で死刑が確定していた13人の死刑が、わずか1カ月の間に執行された。7月6日に教団の元代表の麻原彰晃こと松本智津夫(63)、元幹部の早川紀代秀(68)、中川智正(55)、井上嘉浩(48)、新実智光(54)、遠藤誠一(58)、土谷正実(53)が、7月26日に元幹部の林(現姓小池)泰男(60)、岡崎(現姓宮前)一明(57)、横山真人(54)、端本悟(51)、豊田亨(50)、広瀬健一(54)が刑場で最期を迎えた。

死刑執行と前後して論争が起き、当サイトもその舞台となった。6月4日に立ち上がった「オウム事件真相究明の会」の主張や活動目的について6月13日、ジャーナリストの江川紹子氏による記事『「真相究明」「再発防止」を掲げる「オウム事件真相究明の会」への大いなる違和感』を掲載した。

 これに反論するかたちで、「オウム事件真相究明の会」の呼びかけ人である森達也氏の寄稿『それでも麻原を治療して、語らせるべきだった…「オウム事件真相究明の会」森達也氏による、江川紹子氏への反論』も掲載した。

 これらに対し、インターネット上ではさまざまな声が上がった。そのひとりが、1989年11月の坂本堤弁護士一家殺害事件を契機に「オウム真理教被害対策弁護団」に加わり、オウム真理教をめぐる裁判に関ってきた滝本太郎弁護士である。

 森氏の寄稿に関して、自身のブログ「生きている不思議 死んでいく不思議」に滝本氏はこう記した。

「語りもしない『麻原彰晃』です。『べき論』と制度とをごちゃまぜにするなぞ、恥ずかし過ぎる論法、三歳児の論理でしょうが。一審弁護団の無罪主張『弟子の暴走論』を同意する、と言ってたのは、どうなったんですか。(森達也氏は)無責任かつ平気で自己矛盾できる人なんだな」

「『(意識を取り戻した)麻原を徹底的に追い詰めて、公開の場でとどめを刺すべきだったのだ』なぞと、制度上ありえず、新たな制度としても憲法上の黙秘権保障や『人民裁判』禁止に反したことを、平気で言うんだなあ。これをデマゴギーという。こういう論法を言い、感情や直感にばかり頼る人を、デマゴーグというのかな。ああ、オウムが1994年からしてた自白剤でも使えと?」

 森氏が「オウム事件真相究明の会」を立ち上げたのは、麻原が事件を起こした動機がわからないからだと表明している。

 滝本氏は、それなら「動機を聞く会」とでもすればいい、「真相究明の会」というネーミングは、「でっち上げ」と言っているオウム集団を助力している、と批判する。それでも「真相が明らかでない」と言うなら地裁判決くらいは読むべきだという。確かに判決を読むと、麻原の動機は事細かに記されている。

麻原彰晃の犯行の動機

 判決はきわめて長文であるが、滝本氏は同ブログで、事前警告してきた実績ももとに、麻原の動機を自分なりにまとめている。

「『麻原彰晃』は、日本社会に対する恨みを持ちつつも、まずは支配欲とくに不自由のない環境で育った若者に対する支配欲を満たし同時に各家庭を崩壊させるべく、最終解脱者と称して自らに絶対的に服従させる『オウム真理教』を成立させた。

 各信者は選民意識と同時に、厭世感を強くし『輪廻転生の苦痛』なるものからの脱却を希望してきた。麻原は、信者らに、修行の一環として麻原の指示であれば『救済』のために何でもするという狂信的特質を持たせることに成功した。

 『麻原彰晃』は、経済合理性を考えつつ、支配欲や女性関係での煩悩を満たすことだけでは次第に飽き足りなくなってきたところ、化学兵器サリンを大量に作れる可能性が現実化し、一方で1994年以降、下記状況になってきた。

 そこで、もともと持っていた社会への恨み、人への恨みを一気に晴らしたいという煩悩を今こそ果たす気持ちになってきた。それは傍目には自暴自棄の度合いを高めているという外ないが、国を乗っ取ることができず、あるいは国民の多数に強く崇拝されない以上、『麻原彰晃』として当然の方向性である。

 危険がいっそう高まる時期は、『重大予言』『宗教弾圧』を改めて主張する時期であり、1995年1月初めのサリン報道に対する告訴等の記者会見、1月7日の集団自殺云々のラジオ放送、3月初めの假谷さん事件への反論、3月中旬のチラシ『戦争が始まっているのなぜ気づかないんだ』がこれにあたる。

 1995年11月にはサリンを70トン作り東京都下に撒く予定だった。が、1月1日サリン疑惑報道があって出来上がっていたサリンをすべて廃棄していたところ、3月20日の週に強制捜査があるので、国と人々に恨みを果たそうとして、急遽作らせた濃度30%台のサリンにより、地下鉄サリン事件を起こした。

 『麻原彰晃』は、その後も信者により日本の攻撃を加えることができると思い、3月22日強制捜査の日の未明と同日夜『救済の手伝い』『悔いの無い死を迎えようではないか』というラジオ放送をした。それが5月5日の新宿青酸ガス事件であり、5月16日の都庁爆破事件であるが、それが限度だった」

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