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伊藤忠・岡藤会長、デサント恫喝騒動の真相…株価下落時にTOB強行か

文=石井和成
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TOBに発展か

 両社にはそれぞれ、言い分もあるだろうが落ち度もある。

 たとえば伊藤忠は、デサントへ通告せずに株を買い増ししたほか、6月の会談において岡藤氏が石本氏に対して恫喝めいた発言をした。岡藤氏は竹を割ったような性格で、思ったことをなんでも口に出すところがあり、「関西弁でまくし立てられて嫌な思いをした」と証言するアパレル業界の関係者もいる。

 また今回、トップ会談の中身が情報漏洩したが、実はこの会議に参加したのは、伊藤忠側2人(岡藤氏、小関秀一専務執行役員)、デサント側2人(石本氏、三井久常務)の合計4人。会議の中身はテープに録音されていた。「伊藤忠側は会談を録音していない。録音したのはデサント側」(伊藤忠関係筋)という。

 実際、「週刊文春」の記事は、伊藤忠にとって不利な内容となっており、伊藤忠側が情報を流したとは考えにくい。そうであれば、デサント側の情報管理力と内部統制力が問題となるだろう。アパレル業界関係者は「トップ同士の会談を録音してメディアに流すような会社とは正直、あまり付き合いたくはない。ガバナンスも問題だ」と話す。

 また、ホワイトナイト候補のワコールについても、「本当にホワイトナイトなのか?」という疑問の声が日増しに強まっている。というのも、ワコールの安原弘展社長は10月の決算会見の席上で、「現段階では、資本関係を結ぶつもりはない」ときっぱりと否定しているからだ。「純粋に互いの業容を拡大するための提携」と断言しており、資本提携への発展や、ホワイトナイトとして伊藤忠と対峙するという展開は、ほぼなさそうだ。アパレル業界関係者も「ワコールは、伊藤忠の動きを抑制したいと考えるデサントに担がれたのではないか」と疑問を呈する。

 両社の状況を知る金融関係者は、こう分析する。

「現在、デサントの株価は実力以上に高くなっており、伊藤忠が買収する潮時とはいえない。逆に、思い切って売却するのがいいと思うが、一方でデサントは歴代のアパレル事業担当者がかかわってきた会社だけに、安易に売却するのも難しい。岡藤氏は伊藤忠の『中興の祖』として長期政権に向けて盤石の体制を敷いているので、デサントの業績が悪化するなどの理由で株価が落ち込むのをじっくりと待って、敵対的買収などに踏み切るのではないか」

 デサントが好業績といっても、韓国事業一本やりであり、収益基盤が多様化しているとは言い難い。また、中期計画では19年3月の最終利益目標を100億円としていたが、今年5月にはあっさり65億円に下方修正するなど、株主を軽視している面も否めない。デサントの株価が落ちた時の伊藤忠の動向に注目したい。
(文=石井和成)

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