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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

仏マクロン、安倍首相に日産・ルノー介入を要求し拒否される…G20で冷遇、仏国内でも窮地

文=渡邉哲也/経済評論家

 名指しこそされていないが、これは実質的にフランス政府とルノーおよびカルロス・ゴーン容疑者も該当するのではないだろうか。

 また、同宣言が採択される前、安倍晋三首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領が会談を行い、マクロン大統領は3社連合の安定維持を強調したものの、安倍首相は「今後については民間の当事者で決めるべきで、政府がコミットするものではない」と釘を刺している。いわば「フランス政府は口を出すな」というわけで、G20後のルノー・日産をめぐる日仏両政府の駆け引きも見逃せないポイントだろう。

マクロン大統領、G20で思わぬ“冷遇”?

 また、今回のG20では珍事が相次いだ。マクロン大統領夫妻は政府専用機で現地入りした際、待ち受けるはずのガブリエラ・ミケティ副大統領が不在で出迎える要人の姿がなかったことが伝えられている。とりあえず、マクロン夫妻は空港の作業員と握手を交わしたようで、迎えのクルマに乗るところでようやくミケティ副大統領が到着。結局は連絡ミスだったようだが、外交儀礼上はあり得ないことが起きたといえる。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は搭乗した政府専用機に電気系統のトラブルがあり、途中で引き返してドイツ国内に緊急着陸する事態となった。その後、スペインの民間航空機で半日遅れで現地入りするという大遅刻を演じてしまった。

 意図的かどうかはさておき、G20で思わぬ“冷遇”を受けてしまったマクロン大統領は国内でも窮地に陥っている。パリをはじめとする各地で燃料税引き上げに抗議するデモが3週連続で行われ、一部が暴徒化した上に死亡者も出るなど大問題になっているのだ。

 かねて失業率が改善せず支持率が低下しており、閣僚の辞任も相次ぐなど反マクロンの動きが強まっているが、そこにゴーン容疑者の逮捕という予想外の事態も飛び込んできたため、フランスの政局は一気に不安定化している。2017年5月の就任以来、マクロン大統領は最大の危機を迎えているといっていいだろう。そして、それらの動きがルノー・日産の問題にどのように影響するかも、注視すべきポイントだろう。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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