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徴用工問題、日本政府「個人の賠償請求権は消滅せず」との見解…安倍首相「解決」は間違い

構成=長井雄一朗/ライター
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安倍首相の「解決」発言は間違っている?

――判決後の安倍首相河野外相の発言は適切だったと思いますか。

 安倍首相は「国際法に照らしてあり得ない判断」と述べ、河野外相は「国際社会への挑戦」と表現していましたが、「日韓協定」という国際法を日本政府自身が上記の通りに理解してきたわけですから、「あり得ない」などとは言えないですし、安倍首相や河野外相が現在の日本政府の見解に触れない点はミスリーディング(誤導的)といえます。実際、その後、河野外相は共産党の穀田恵二議員に対する国会答弁で「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」と明言しており、個人の請求権が残っていることを認めました(11月14日)。

 そのため、新日鉄住金や三菱重工業が任意で賠償金を支払い、謝罪することに対して、日韓請求権協定は法的な障害にはならないのです。また、今後は不二越などに対する判決においても、おそらく同様の判決が出ると思います。

――日本は国際司法裁判所への提訴も検討しているようですが。

 日韓請求権協定では、「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争」 については、両国の交渉で解決できないときには、“国際仲裁”で解決することを義務付けていますから(3条)、日本政府が本気であれば、そちらで解決するべきでしょう。日韓がひとりずつ仲裁人を決め、中立的立場の第三者を入れて、3人で仲裁委員会をつくる、などとされています。

 また、前述の通り、「救済なき権利」としてですが、日本側も被害者個人の権利が残っていることを認めているわけですから、今回の韓国の大法院の判決と、被害者個人の権利が残っている点では見解が一致しています。そういうところで一致しているのに、どういう裁判を起こすのか、ということが問題になるでしょう。

「解決」という言葉はあっても、それを「個人の請求権が残っている」という意味に理解しているということを、日本政府は丁寧に説明すべきでした。安倍首相の「完全かつ最終的に解決」という発言は、「個人の賠償請求権も消滅した」という意味であれば、日本の最高裁判決への理解を欠いているという意味で間違っています。

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