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投資信託、購入者の約半数が資産マイナス…「貯蓄から資産形成」を煽った安倍政権の責任

文=小川裕夫/フリーランスライター
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アベノミクスの総括

 しかし、金融庁がいくら気を吐いたところで、日本人の投資に対するマインドは簡単に変わらない。諸外国と比べて、日本はまだ貯蓄を優先する風潮が強く、投資には消極的だ。元本保証がない金融商品では、損を被ることもある。いくら森氏が「貯蓄から資産形成へ」という旗を振ったところで、損を出すばかりなら、自然と投資への熱は冷めていく。そして、投資への温度が下がれば、必然的にアベノミクスは失敗と断じられてしまう。

 そうした日本国内における投資アレルギーを緩和させるべく、金融庁は手始めに投資信託の推奨というスタンスを取っていた。投資信託は銀行や証券会社に金を預けるだけで、預けた本人は売買をすることもなく株価をこまめにチェックする必要もない。資産運用は、ほぼ一任。投資初心者でも簡単に手を出すことができる。

 しかし、昨年金融庁が発表した統計では、投資信託をしている投資家のうち46パーセントが資産をマイナスにしたという。アベノミクスで市場の株価が上がっているなら、当然ながら多くの投資家は利益を得ていてもおかしくはない。しかも、この数字には従来なら手堅い運用で利益を出す機関投資家も含まれている。それらを踏まえると、個人投資家はかなりマイナスを被っていることが窺える。

 安倍政権は常々「景気対策は道半ば」と言い続けてきた。6年も政権を担当し、第1の矢が成功していない状況を「道半ば」と表現するのは苦しい。金融庁が掲げた「貯蓄から資産形成へ」というキャッチフレーズは忘れられつつあり、一時期は森氏を絶賛していた経済誌も掌を返している。

 アベノミクスの舞台裏で、我が世の春を謳歌していた金融庁の姿はもうない。これらは、アベノミクスが完全に頓挫したことを意味する。民主党を経済無策と指弾していた安倍政権だが、その経済政策は、残念ながら失敗したと総括されそうだ。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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