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宮崎駿『風立ちぬ』が“戦争賛美映画”“最高傑作”と物議…百田尚樹は「嘘ばかり」と酷評

文=編集部
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 劇場公開当時、宮崎駿監督の“引退作”として話題を呼んだアニメ映画『風立ちぬ』(東宝)が、今夜(12日)の『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)で放送される。同作は、宮崎氏の監督作品のなかでも評価が真っ二つに分かれているだけに、再び議論が巻き起こりそうだ。

『風立ちぬ』は2013年7月に公開されたスタジオジブリの作品で、主人公・堀越二郎のボイスキャストにアニメーターの庵野秀明氏を起用したことが話題になった。また、『魔女の宅急便』(東宝)以来のタッグとなる松任谷由実が主題歌を担当するなど、公開前から豪華布陣が大きく関心を集めた。

 宮崎氏が「引退作」と掲げていたこともあり、映画自体は興行収入120億円超えの大ヒットを記録。しかし、難解な内容で娯楽性が薄いことから、2002年にアカデミー長編アニメ映画賞を受賞した『千と千尋の神隠し』(東宝)のようには絶賛されていない。さらに、“否定派”の意見として「戦争賛美映画」という主張も多く見られ、日本だけでなく海外興行でも同様の指摘が相次いでいる。

 映画は零戦設計者の堀越と、同時代に生きた小説『風立ちぬ』の作者・堀辰雄の人生がミックスされた完全フィクション。作品内では零戦設計シーンや戦闘描写が多いものの、宮崎氏は映画公式サイトで「ゼロ戦の優秀さで日本の若者を鼓舞しようというものでもない」「自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描きたい」と、製作意図を明かした。

 物語は堀越と薄幸の少女・菜穂子との出会いや、イタリア人設計士・カプローニとの交流も展開。抒情的なストーリー展開に加え、アニメーションの美しさを評価する声も多い。アニメ監督の細田守氏は「こんなにいい映画は今までになく、そしてこれからもない、というくらい、いい映画でした」と絶賛。映画監督・樋口真嗣氏も「あの日々の日本を、美しい航空機を、健気な女の子を愛し抜く映画。原点にして頂点」とコメントしている。

 そのほか、『風立ちぬ』は“場外乱闘”も多く発生している。たとえば、劇中で喫煙シーンが多く描かれたため、嫌煙家からターゲットにされた。作品評価を離れて、芸術における喫煙描写を是とするべきか、激しい論争を呼び起こしている。

 また、『風立ちぬ』に絡めて宮崎氏は映画誌「CUT」(ロッキング・オン)のインタビューで、名前は伏せつつも小説『永遠の0』(太田出版)の作者・百田尚樹氏を批判して物議を醸した。『風立ちぬ』も『永遠の0』も、第2次世界大戦を時代として零戦を中心に据えた作品のため、比較されることも多かった。そんななかで『永遠の0』が映画化される動きを受け、宮崎氏は「嘘八百を書いた架空戦記」「神話の捏造をまだ続けようとしている。『零戦で誇りを持とう』とかね」とバッサリ切り捨てた。その後、百田氏も『風立ちぬ』を「嘘ばかり」と評すなど、対立姿勢が浮き彫りになった。

 公開から6年がたとうとしている『風立ちぬ』。今夜のテレビ放送によって作品評に変化は起こるのか、放送後の反響にも注目したい。
(文=編集部)

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