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大学入試・英語民間試験が“マジであり得ない”理由…経済的&地理的格差が学歴に直結

文=編集部
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 東京都八王子市出身で早稲田実業高校在学中、“尖っていた”萩生田氏はスムーズに早稲田大学に進学することができなかった。その結果、1浪して明治大学に入学した経緯がある。だが、すべての家庭が萩生田氏のように浪人生を抱える余裕があるわけではない。また遠隔地の子どもが「都会に出ること」の現実を果たして本当に理解していたのだろうか。

大学入試センターが問題を作るのがフェア

 萩生田氏の発言以前から、大学受験をめぐっては家庭の経済力や、都市と地方の格差が大学入試で大きな不公平要因になっていることは確かだ。大学入試の受験料は受験生を抱える家庭には大きな負担だ。裕福な家庭は数多くの私立大学にチャレンジができるが、そうではない場合は受験校数を絞らなければならない。今回の民間英語試験導入でいっそう、格差は広がるのではないか。

 今回の民間試験制度の問題点は何なのか。大学通信の安田賢治常務は次のように語る。

「県庁所在地など主要都市に住んでいる学生とそうでない地域に住んでいる学生では、確実に経済的な負担に差が出ると思います。受験するために前泊というケースも多数出るでしょう。これまでは大学入試センター試験3教科以上で1万8000円だったことを考えれば、受験料単独で考えても値上げになります。

 そもそも大学入試センター試験の英語の受験者は約54万人です。これを2回受けるとなると単純計算で受験者数は約108万人になります。受験期限の4~12月まで、毎週開催されている民間試験もありますが、比較的に数が少ないものもあります。果たして、試験会場のキャパシティーは大丈夫なのでしょうか。東京に住んでいても、受験ピーク期に受験希望者が殺到した会場が満員になる可能性もあります。その際、『埼玉県に行ってください』とか『福島県に行ってください』というケースが発生するかもしれません。

 また、台風や大雪などが発生し、会場までの交通機関が乱れる場合もあり得ます。少なくとも絶対に1回受けなくてはいけないというのは受験生にとって大きな負担になりえます。

 お金があれば何度も受けられて有利というのもあるでしょう。例えば、高校2年生の段階から何度も練習して試験に慣れるということはできます。しかし、受験生は英語だけ勉強しているだけではありません。そんな時間を捻出できるのかも疑問です。

 大学入試センター試験で、ライティング、スピーキングを盛り込んだ問題を作成することがもっともフェアな解決策だと思います。今回の延期で、数年の猶予ができました。機会や経済力の公平性、大学など会場確保の問題も考慮すれば最も現実的だと思います。

 ただ、スピーキングなどで採点基準をどうするのかなど課題もあります。発言内容重視なのか、発音重視なのか。民間試験はこれがブラックボックスになっています。ただ、そうした意味でもセンター一括でやったほうがフェアだと思います」

 今回の新制度が導入刺されば、民間業者は確実に儲かる仕組みだった。だが、検証すればするほど金銭面、会場面、受験生の時間確保など実施面での不備が目立つことがわかる。絵に描いた餅にいつまでもこだわるより、受験生ファーストに徹してもらいたいものだ。

(文=編集部)

 

BusinessJournal編集部

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