
日本の家電量販店最大手であるヤマダ電機の勢いが止まらない。2019年には大塚家具を子会社化し、家具やリフォームなどの分野にも進出。派手さはないが、安心して使える商品をラインナップするという従来の方針に加え、インテリアとしても活躍するようなオシャレなアイテムや、一風変わったアイデア商品が増えた印象だ。
ただし、家電において、使い勝手の良さや実用性の高さよりもオシャレさや斬新さを求めてしまうと、最終的な満足度が低くなるという傾向もある。そこで今回は、デザイン性などは先行しているが、使いこなすのが難しい「買ってはいけない涼感家電」をセレクトしてみた。
丸隆 マルチブレードレスサーキュレーター
珍しいブレードレスのサーキュレーター。近未来的なデザインのため、インテリアとして置くだけで、部屋にオシャレな雰囲気を与えることができる。さらに、羽根ありタイプのサーキュレーターより手入れが楽という利点もある。
ただ、肝心の機能面でいくつか残念な点が見受けられた。まず風力だが、羽根ありのサーキュレーターに比べるとパワー不足は否めず、熱がこもった部屋で本製品単体で涼しい環境をつくるのは難しい。さらに、稼働音も羽根ありに比べて大きく、就寝時の利用にも差し支えがありそうで、機能性よりもデザイン性に特化したアイテムと言えそうだ。
ドウシシャ サーキュライト ソケットモデル
ソケット式のLEDライトとサーキュレーターが一緒になった“サーキュライト”。インテリアと夏もの家電が一体となったアイデア商品で、熱がこもりがちなトイレや脱衣所、キッチンなどに設置すれば、灯りと一緒に涼しい風を届けてくれる。
照明と空調を合体させることで余計なスペースを取らないのは長所だが、いくつか気になるポイントも。トイレなどの狭い個室で使う分には良いが、首振り機能がないため、リビングなどの広い部屋で効率的に空気を循環させる力はあまりない。さらに、風量のわりに稼働音が大きめで、寝室で使うにも不向きのようだ。
思ったよりも使う場所が限定されるという点で、汎用性は高くないと言わざるを得ないだろう。
エスケイジャパン 冷風機
簡単に取り付けることができ、どこでも設置することができるスポットエアコン。エアコンとは思えないスリムな形状が魅力だが、ある問題点によって、全面的にオススメすることができないアイテムとなっている。
壁に取り付けて使用する一般的なエアコンは、吸い込んだ室内の熱を室外機を通じて外に逃がすことで、部屋を冷却する仕組みになっている。しかし、この冷風機は、吸い込んだ熱を本体の排気口から排出する仕組みのため、冷気の放出と同時に熱も排出されてしまうのだ。密閉された室内で使用すると、冷風と温風を同時に排出することになり、部屋が涼しくなりづらいというデメリットがあるのだ。
開けた窓の近くに設置して外に排熱するように工夫すれば、クーラーとして上々の機能を果たしてくれるが、それだと「どこでも設置できる」というメリットと矛盾してしまう。部屋の形状や置く場所を選ぶ製品と言えるだろう。