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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」~CAが危ない!ANAの正体(23)

「同じ業務なのに待遇面で格差」ANAHD、子会社CAへの“差別的待遇”に不満充満

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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ANAのボーイング737-700(「Wikipedia」より)

 本連載ではANAホールディングス(HD)の完全子会社エアージャパン(AJ)が現在行っている成田空港国際線の検疫補助業務について、業務後のPCR検査が受けられないなど不十分な感染防止対策しかとられず、CA(客室乗務員)が感染リスクにおびえながら日々の業務に取り組んでいる現状について報じてきた。

 今回の業務にかぎらず、AJはその設立時から、ANAグループ内で経営陣の「コストカットの道具」のような差別的な立場を強いられてきた。それはANAのCAとまったく同じ業務を担っているにもかかわらず、待遇面で如実に表れてきたことを、関係者などへの取材により明らかにする。

AJ、片野坂ANAHD社長が90年設立、「ANA劣化版」批判も国際線競争で存在感示す必要性

 AJのホームページなどによると、1990年に前身のワールドエアーネットワークが設立され、2000年に現在のAJに社名変更した。成田空港が本拠地で、シンガポールやタイなど、アジア・リゾート路線を担う国際線専門の航空会社だ。21年4月時点の従業員は約800人で、大半はCA。ANAのCA約8600人の約10分の1の規模で、原則ANAや他社でのCA勤務経験者を中途採用している。パイロットはコロナ禍前には派遣会社の外国人を雇っていたが、コロナ禍による国際線の需要急減で、現在はANAのパイロットが出向する形で補っている。以下、時系列に沿って詳しく見ていこう。

 AJが生まれた90年は、86年に国際線にANAが参入した直後で、「国際線の黒字化」を至上命題として走り出した時期だ。現在ANAHD社長を務める片野坂真哉社長が経営企画部主任部員(課長級)として設立したが、日本経済新聞のコラム「私の課長時代」で以下のように当時を振り返っている。

「外国人パイロットを雇ったり、サービスを簡易にしたりしました。労組の理解を取り付けながらの難産でした。当時はまだ格安航空会社(LCC)の概念がなく、社内外からANAの劣化版だという批判も受けました。それでも着実に路線を拡大し、今やグループの重要な位置を占めています」

 外国人の派遣採用で日本人では高額なパイロットの人件費を削減した上、設立当初から現在までAJのCAは時給制で福利厚生もANAのCAより格段に落ちる。「国際線は飛ばしたいがコストはかけたくないという当時の経営陣の方針を片野坂氏が具体化した」(当時を知るANAのベテラン社員)というわけだ。

 本連載ですでに報じた通り、90年代の国際線は日本航空(JAL)の独壇場であり、新天地として当てにしていた関西国際空港も94年の開港当初は巨額赤字を計上し続けるなど絶不調。AJもその影響を受け、業績は好調とはいいがたい状態が続いた。

2000年代からANAとの共同運航便開始、05年から制服も統一

 2000年代に入り、ANAとの共同運航が本格的に開始され、編成にも組み込まれていった。以下は、2000年代前半にAJに勤務した元CAの証言。

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