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DV“加害者”更生プログラム、重要性高まる…被害者意識の加害者、加害者意識の被害者

文=真島加代/清談社

 栗原さんは、この「選択理論心理学」に感銘を受け、2011年4月に「DV更生プログラム」の提供を開始。今や、日本における草分け的存在になっている。

「ステップの更生プログラムは全52回。毎週2時間、約1年間の講習を受けることになります。まずは、加害者とパートナーの個人面談を通して、加害者が育った家庭環境や現在の夫婦生活など、さまざまな話を聞くことから始めます」(同)

 面談の後、10人前後の加害者でのグループワークを実施する。初期段階では「自分を怒らせる配偶者が悪い」という被害者意識やジェンダーバイアスなど、加害者が抱く“歪んだ価値観の問題点”を認識させるという。

「多くの加害者は、自分がDVをしていることに気がついていません。まずは、自分がDV加害者であり、DV行動は犯罪であること、人権侵害をしているということを自覚しなければなりません。同時に、加害者の怒鳴り声や怒り、存在の無視などの“怒り行動”がどれほど強いストレスを被害者にもたらすか、についても学んでもらいます」(同)

 加害者の誤った考えを取り払い、相手を暴力で従わせていたことに対する「責任」を芽生えさせる必要があるのだ。

「これらの学びを通して、『他人を変えることはできない』ということを知ってもらうのが目的です。加害者は『自分がいい妻に矯正してやった』と考え、相手が自分の思い通りに動いていることに満足します。なので、私たちは被害者が“変わった”のではなく、暴力におびえて従っているだけという事実を伝えるのです」(同)

 他人を変えられないことを知った加害者は「自分はなんて無駄なことをしてきたんだ」と、総じてショックを受けるという。このように、加害者の根底にある歪んだ固定観念を正しながら、実践を交えてDVの更生を試みていくのだ。

「家庭で実践できるDV解消法のひとつが『相手は最善の選択をしている』と考えることです。たとえば、子どもに虐待をしてしまう人は、相手の理解できない行動に対して『どうして私を困らせるようなことをするんだ』と怒り、詰問します。一方の子どもは詰問に萎縮してしまい、何も答えることができず、加害者の怒りが増幅するという悪循環に陥ります」(同)

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